書籍紹介

 仮想戦記や戦記小説などの紹介(「因縁を付ける」ともいう)です。
 なお、これらの内容は私の独断と偏見によるもので、だいたい、小説が面白いかどうかなどは個人のセンスの問題なので「お前がが面白いといったから買ったけど面白くない。どーしてくれる」とか「なんでこの話が面白くないというのか?」などと言われても困ってしまうので「ふっ、こんな話を面白がっているようじゃだめだな」とか「この話の良さが判らないなんて可哀想な奴」ぐらいに思っておいてくださいね。

海陽出撃!(青竜艦隊伝説1)

高貫布士著 アスペクト刊 平成10年

 本屋でみかけた時の印象は「海陽・・青竜・・なんで、こうもいい加減な名前をつけるかなぁ・・・」でしたが、よく見てみると「Haiyang」。げ、もしかして民国艦隊・・・
 終戦後、民国に引き渡され<海陽>となった<満月>に日本海軍将兵が傭兵として乗組み共産軍と戦うというお話。
 実際には<満月>は建造中終戦・戦後解体コースだけど<雪風>とかは民国に引き渡されているし、白団など、民国が日本人将兵を招致した例はあるので、結構、「信じていいかな」という気持ちにさせるバックグラウンドがあります。

 もっとも、中国側の設定で力尽きたのか、海軍の設定はデタラメ。主人公は青島晃ニ中佐。「マリアナ沖海戦に駆逐艦副長として参加、重傷を負う。復帰後は<満月>艤装委員長として終戦を迎える。」
 ・・・あのお・・・駆逐艦に副長は居ませんが・・・・さらに百歩譲って駆逐艦に副長を認めても、「副長または先任将校しかいない」なんて事も。・・副長が居るんだったら副長が先任将校に決まってるだろうが・・それとも、軍医士官とか技術士官が副長だとでも言うのだろうか・・
 さらに、主人公の経歴を好意的に先任将校だったと解釈した場合でも、駆逐艦の乗員で中佐は駆逐艦長以外は有り得ないので少佐、すると中佐の1年目に大型駆逐艦の艤装委員長というのも明らかに不自然だよなぁ・・  また、草履で艦橋に立つとか、身なりを気にしない等と駆逐艦乗りの性質について書いてあるのはいいのですが、それを「出世と縁が遠い分」と変な解釈をしているし・・駆逐艦長ってのは水雷科の出世コースだと思うのですが・・

 話の方向性として、戦闘よりも「XXよもやま話」とかに出てきそうな裏話系の部分が強いようですが、前述ような狂った考証がすべてをぶち壊しています。
 設定や展開はそれなりの良いので、2巻以降での巻き返しを期待します。もっとも、主人公が「駆逐艦副長」だった過去を消すのは大変そうですが・・
 あ、あと、個人的には<衝陽>(旧名<楓>)の活躍を期待(爆)