イタリア王国

 イタリアと日本は二度の世界大戦の両方を共に戦った友邦であるが、その実、交流は少く、艦の交換はイタリアから日本が日露戦争直前にアルゼンチンがイタリアで建造中の巡洋艦<リバタビア><マリアノ・モレノ>を日本海軍が購入したのと、第二次世界大戦の後半においてイタリアの降伏に伴い極東にあったイタリア艦を日本が接収したぐらい、日本からイタリアが第一次世界大戦においてイギリスで建造中の駆逐艦を日本が売却した程度に留まった。
 ただし、イタリア海軍の技術陣の高い先見性の影響は日本海軍にも及んでいる。


オダーチェ

 元浦風型駆逐艦<江風>。日本海軍がイギリスのヤーロー社に発注していたものだが、建造中に第一次世界大戦の勃発により駆逐艦不足に陥ったイタリアに売却された。
 イギリス製であり「メイド・イン・ジャパン」という訳ではないが、一応は日本の思想は入っているので本稿に含めた。
 浦風型はタービンとディーゼルの併用を予定していたが、第一次世界大戦の勃発により搭載予定のフルカン社の減速装置が調達できずタービンのみとなり、浦風の前に建造された国産の海風型に比べてもやや劣る平凡な艦となっており、日本海軍にしてもイタリアに売りつけられたのは渡りに船だったのかもしれない。
 大正5年7月3日に譲渡協定成立。大正5年12月23日竣工。平凡な艦ではあったが、それ故に無事によく働き昭和18年9月にイタリアの降伏でドイツ海軍に接収されるまでイタリア海軍で活躍した。

オダーチェ

 基準排水量829トン/全長87.6m/機関 タービン22000馬力/速力30ノット
 兵装:10.2cm単装砲3基、45センチ連装魚雷発射管2基