大正9年度計画により建造された河用砲艦。

 <鳥羽>の拡大改良型というべき艦で、三峡通過を容易とする為、更に1ノット高速化し、16ノットとなり、艦型が大型化し、居住性も増した。
 また、<鳥羽>等、既存の砲艦が就役後の排水量増大に伴う乾舷減少に悩んだ為、行動範囲の減少を偲んで思い切って吃水を1mに下げ、将来の排水量増加に備えている。
 高出力を得る為、重油缶を採用したが、作戦中に重油の補給が得られないケースを想定し、専燃とはせず、混燃としている。

 日本の江上戦力の主力として活躍するが、太平洋戦争末期に<比良><保津><堅田>の3隻が相次いで被爆・大破し、終戦時に行動可能なのは<勢多>のみであった。
 <勢多>は戦後、国府に接収され<長徳>となった。


瀬田型要目

 名  称   勢多型
 ネームシップ  勢多
 建造時期  大正12年8月24日〜大正12年11月7日
 建 造 数 4隻
 常備排水量  338トン
 垂線間長   54.86m
 最 大 幅   8.23m
 吃  水   1.02m
 主  機   直立2気筒2段膨張式レシプロ機械 2基
 推 進 軸 2軸
 主  缶   ロ号艦本式水管缶(重油・石炭混燃) 2基
 公試出力   2100馬力
 計画速力  16ノット
 航 続 力 10ノットで1750浬
 燃料搭載量  石炭20トン、重油74トン
 乗  員   62
 兵  装   8センチ単装砲 2基
 7.7ミリ単装機銃 5基

同型艦:
 勢多、比良、保津、堅田