ゲームにみる北海道 #1



 RING OF RED (コナミ)

 本土決戦により日本が南北に分断され、大戦中に実用化された多足歩行兵器がにらみ合いを続ける世界を舞台にした戦術級SLG。
 いわゆる「ロボット物」だが随伴歩兵の編成に大きな比重が置かれているなど、他とは大きな一線を画している。

 分断された日本、分断された家族、失われた誇り、そして核。全編を通じて渋くて重い話が素敵でした。
 強奪された実験機を追って北上していくストーリーで最終的に松前を経由して函館に至ります。
 北海道度:★


 オホーツクに消ゆ (アスキー)

 殺人事件の捜査を扱ったAVG。死体が発見された晴海埠頭からスタートし、函館、網走と北海道に捜査の手を広げて行く。
 しっかりしたストーリーと階層式メニューによるコマンド選択方式は一世を風靡した。
 シナリオはドラゴンクエストで有名人となった堀井雄二。

 アドベンチャーゲーム全盛期を支えた名作です。当時、私はX1ユーザーでしたが本作はX1には移植されなかったので、お家では遊べませんでしたが、友達の家でやりました。
 実際に北海道でロケをやって作成したCGもウリでしたが、思えば「北へ。」のご先祖様というべきでしょうか(笑)
 北海道度:★★★


 信長の野望・全国版 (光栄)

 光栄の礎を築いた超ロングセラー「信長の野望」の国数を大幅に増やし、グラフィックなども強化したパワーアップ版。
 「パソコン用戦略級SLG」は未だ「信長の野望」の模倣の域を出ていないと言っても良いぐらい全ての基本となった名作。

 これや「三国志」は友達と猿のようにハマった記憶があります。
 国数が50ヶ国に増えて北海道も第1国・蝦夷として登場しました。君主は蛎崎氏。はっきりいって弱小国でしたが隣接国の津軽のみで、その後もひたすら南へ進めば良いので多正面戦略を採る必要が無いことや、隣接国に弱小国が多い事、君主の年齢が若い事などから天下統一も充分に狙える有利な国でした。
 余談ですが、当時の蝦夷は米が採れないので「石高」はゼロ、蛎崎氏は厳密な意味での大名ではありませんでした。これは後に老中も出した松前藩も同じで松前10万石といっても米は取れず、主にアイヌとの交易による「石高相当」という奴でしたが、形式上とはいえ、武士が商業(交易)に係わるというのは日本では大変珍しい、特殊な藩でした。
 北海道度:★


 太平洋の嵐 (GAM)

 インド洋からハワイまでの広大な海域を1ターン3日、艦艇1隻1ユニット、陸軍1大隊1ユニットという恐ろしいスケールで再現した超努級モンスターゲームであり、これ以上の規模の作品となると現在でも改良版の「太平洋の嵐2」や発展型ともいえる「太平洋戦記」ぐらいしかないという、データの塊。
 特に生産・補給面の凝り方は凄く、「零戦を飛ばす」だけでも大陸の石炭と鉄鉱石を九州に輸送して鉄を、蘭印のボーキサイトは新潟に運んでアルミを、同じく蘭印の原油は東京に集めてガソリンをそれぞれ生産して航空機工場のある名古屋へ輸送して零戦を製造、さらに内地各都市で育成される搭乗員を名古屋に移動させて飛べた。しかも、物資を輸送する輸送船や搭乗員輸送の飛行艇の建造や運航にも鉄や重油・ガソリンが必要と、ひとつでも歯車が狂うと生産計画(=戦争指導計画)が破綻するのでプレイ時間の8割以上は物資の輸送や生産・補給計画を考えている必要があった。
 ちなみにパッケージの題字は第一航空艦隊の参謀として知られた源田実氏だったというのもマニアック。

 98のゲームで一番うらやましいと思ってたゲーム。X68kを買った時は真っ先にこれを買いに行きました(笑)
 北海道は室蘭札幌が登場。室蘭には製鉄所(鉄鉱石と石炭から鉄を生産)が、札幌には液化石炭工場(石炭から重油とガソリンを生産)があり、それぞれ鉄鉱石と石炭を産するので自活できて大変便利です。
 しかし、札幌の石炭は室蘭の製鉄所をフル稼働させるには足りないので、中国か朝鮮から持ってくるか余った鉄鉱石を八幡などに積み出してやる必要があります。後者の方が手軽ですが、前者の方は巧く輸送計画を立てると石炭産出地が無くて使えない仙台の製鉄所も生産計画に組み込むことができます。また、北海道の2拠点はいずれも食糧を産出しないので内地か朝鮮から送ってやらないといけません。
 そして、北海道と内地は道路が繋がってないので輸送は輸送船を使う必要があります。燃料については札幌の液化石炭を使えば北方航路の分ぐらいはどうにかなりますが、なにしろ「石油1滴は血の1滴」ですからあだやおろそかに使うことはできません。また、船そのものが序盤は南方作戦などに取られて、後半は損害から常に不足気味なのでその手配も大変です。中盤以降、戦局が悪化すると敵潜水艦が出たり空襲があるので護衛艦隊の世話(船はもちろんだけど、燃料が大変)までしないといけません。
 と、北海道の2拠点に関する「生産」だけでこんだけ考えないといけないのだから、どれだけ大変なゲームかお分かりいただけると思います。
 北海道度:★


 バトル (GAM)

 東西の極東における正面衝突を描いた近未来戦SLG。軍事衛星から原子力潜水艦まで、各国の兵器が入り乱れて闘う恐ろしいスケールのモンスターゲームだった。
 極東有事を扱ったゲームは数あるが、ここまでモロな正面衝突を描いた作品は少ない。
 「太平洋の嵐」同様、スケールがでかすぎてシロウトには手が出ないマニア専用ソフトだった。

 北海道にもソ連軍がやってきますが、航空・海上戦力は西側が優勢なので何とかなります。もっとも、主戦場になるであろう朝鮮半島に気を取られすぎて、北海道や本州の部隊を動かしすぎたりすると、さくっと札幌が落ちたりしました。
 北海道度:★


 太平洋戦記 (ジェネラルサポート)

 「太平洋の嵐」のデザイナー阿倍隆史氏が満を持して放った究極モンスターゲーム。
 基本的な部分は「太平洋の嵐」と同等で、いくつかの機能がパワーアップしており、ほとんど焼きなおしだった本家の「太平洋の嵐2」より「太平洋の嵐」の正統な後継であるとも言われた。
 要求HDD容量は20MBで、データサイズだけ見れば当時の水準(96年)から見てもすでに「大作」の部類には入らなかったが、このゲームの恐ろしい点は画像データやアニメデータ、サウンドデータがほとんどなく、兵器類のパラメータなどのテキスト系データが大半を占めており、20MBというデータがいかに巨大なものか痛感できる恐ろしいゲームだった。

 北海道は釧路旭川札幌室蘭。加えて千島の幌筵得撫が根拠地として登場しますが、扱いが難しい方面といえます。
 幌筵はアリューシャン・ダッチハーバー方面の作戦は策源地ですが、この方面を重視すると天候不順が多いので戦争指導そのものが運任せの要素が強くなってしまいます。資源面では室蘭で生産・精製した鉄を鉄道輸送で釧路の造船所に運べば道内で商船建造を完結する事ができますが、室蘭の生産量の方が釧路の建造量より大きいので余剰の鉄の輸送がキーとなります。また、旭川ではボーキサイトが生産され、同地でアルミに精錬されますが、雀の涙ほどの量なのでチマチマ輸送するより還送が滞った時の予備用にストックしておくのが吉のようです。
 北海道度:★


 サムライスピリッツ (SNK)

 対戦格闘ゲーム黄金時代に咲いた名格ゲー。
 武器の導入でキャラの個性が強くなり闘いにメリハリが出来たとか、バランスが絶妙だったとかの理由もあるだろうが、やはり大ブレイクの影にはアイヌ娘の存在が大きかったのは否定できないところ。
 圧倒的な人気を誇り、続編は言うに及ばずPSやSS用のRPGやアニメまで作られたが回を重ねるごとにどうしようもなくなっていき、後半の作品はゲームセンターでもあまり見かけなかった。
 それにしても、続編大好きのSNKが何故「月華の剣士」を「サムライスピリッツ」にしなかったのは不思議なところ。

 これはハマった。それまで、あまり格闘ゲームってしなかったのだけど、これのせいでNEO−GEO本体まで買っちゃったよ(笑)
 サムスピといえばナコルルアイヌモシリ(アイヌの大地=北海道)はカムイコタン(固有名詞なら旭川の近くにあるだけど、ここは普通名詞「神の村」とすべきか?)出身のアイヌの巫女。それまでの格ゲーの女性キャラといえば良くて「女性」、下手すれば「生物学的には雌と言えなくも無い」なんてキャラが多く、小柄で健気で美少女のナコルルのインパクトは絶大、全盛期の頃のコミケのカタログなど何ページもナコルルのカットが続いていました(笑)
 初期の作品では怪しげな格好をして、高床式の変な建物のある場所で闘い、シサム(日本人)としか思えない言動をとるなどガルフォード(ヤンキー忍者)以上の「変なガイジン」でしたが、回を重ねるにつれて多少は改善されました。妹リムルルも当然北海道産。
 どうでもいい話ですが、私的にはRPG(武士道烈伝)で王虎の誘いに乗る選択をした時のナコルルの妄想(王虎と世界制覇を果たし、長城に立って「ふふふ、大自然も喜んでいるわ」と話す)にナコルルの本質を見た気がするのは怪しい同人誌の読みすぎでしょうか?
 北海道度:★★


 防衛大作戦 (ソフトバンク)

 世界の嫌われモノになってしまった近未来日本にロシアが攻めてくるSLGで、いわゆる「アカが戦車でやってくる」などと言われた「北海道モノ」の冷戦後バージョンというべきもの。
 プレイヤーは北海道に展開している陸自の師団長。自由に戦略を企画するのでも、部隊を実際に動かすのでもなく、上級部隊である北部方面隊の命令に基づいて隷下部隊の連隊や大隊に命令を下すという、「戦場の中間管理職」というのが目新しかった。
 非常に緻密なボードゲーム寄りの力作だったが、戦闘力などの評価ロジックがリアルすぎた為に複雑なルールにもかかわらず展開が非常に単純になり、「ゲーム」としてはかなり問題があったのが惜しまれる所。

 日本にやってきたロシア軍にお引取り願うゲームですから、当然、北海道が舞台。
 稚内から函館まで北海道全域が戦場です。ロシア軍の戦略はソ連軍の頃とかわっていないらしく、道北に主力を揚げて道東に別働隊という、定番コースです。まあ、いきなり道央に大部隊を上陸させて、さくっと札幌や千歳を攻略されてしまうと、「そんな技があるなら、北海道なんかに来ないで新潟に上陸して東京を占領した方が早いのでは・・」って事になりますが・・・
 北海道の地名がばんばん出てきます。もちろん、地図も出ますが画面のマップは地名が読みにくく、かといって地図帳類は軍事的に重要な地域名と政治・経済的に重要な地域名は違う事があり、純軍事的に重要な地名は小さくしか出てないので、北海道レベルのあまり高くないプレイヤーは探すのが大変です。
 北海道度:★★★