北海道なギャルゲー #1


 大悪司 (アリスソフト)

 アリスソフトの大作SLG(モドキ)。
 女性至上主義を唱えるウィミィに占領されたニホンのオオサカを舞台にヤクザ(管理組合)の抗争を描いた作品だが、ハニワから異界の勇者、巫女さん、看護婦、着ぐるみ娘、新興宗教、大和撫子、悪魔となんでもアリ。
 18禁ゲームとしては巨大といっても良い大規模な作品で、それをきっちり纏めてあるのは流石は老舗といった所。名作。

 舞台は終始オオサカですが、桃山組との抗争で各地から呼ばれる助っ人に「イルラカムイ」という攫われた恋人「ウパス」を探すアイヌの戦士が登場します。
 イルラカムイはイ(それ)ルラ(送る)カムイ(神)、この場合の「それ」は死人を指すのでイルラで葬送になり、『死神』みたいな意味になります。
 ウパスはウ(お互い)パス(走る)、直訳すれば競走ですが『雪』という意味です。なんで雪が競争かというと、アイヌの人達は雪が降る事を天から競走して遊びに来ると見たてたようです。
 両方とも正しく北海道アイヌ語ですが、あまり人名としては使わない名前です。
 あと、彼らは本州を「本土」って言いますが、これは(主に戦後の)沖縄の人の言い方で、北海道の人は「内地」といいます。ちなみにアイヌ語なら隣の人(和人)の大地「シサムモシリ」です。

   北海道度:★

 Piaキャロットへようこそ3 (F&C)

 夏休みのファミリーレストランを舞台とした「ウェイトレス物」を確立させたF&C伝統の名作の最新作。
 2に比べて難易度がかなり下がるなど調整は入っているが、良きにつけ、悪きにつけ「Piaキャロット」としての気質を持った作品。
 殆ど無意味な隠しキャラやイベント間の矛盾など問題点が無い訳ではないが、人気シリーズの最新作として過不足の無い仕上がりだと思われる。

 舞台は神奈川県のようですが、研修旅行として殆どのルートで1泊2日の北海道旅行に行きます。
 場所は明言されませんが夜景からして函館では無いかと思われます。そういえば、同系列のPALETTEも函館山でしたが、何か拘りでもあるんでしょうか?

   北海道度:★★

 レクイエムハーツ (イリュージョン)

 3Dポリゴンギャルゲーの草分け的存在の「監禁」のリニューアル版。
 オリジナル版は「キワモノ」以外の何物でもなかったが、6年間の歳月の間に積まれた技術の進歩にはただただ驚愕するばかり。
 アクションシーンは水の表現や関節などにぎこちない部分が目立つが、静止画像はため息の出るぐらい美しく、まるでコンシューマの大作のよう。
 ゲームはAVG+ガンシューティング(マウス使用)。難易度は総合的に低い。
 見栄えはポリゴン炸裂の時代の選択をいっているが、AVGとしては無意味に鍵が落ちていたり、天井が崩れたり床が抜けたりと、8ビット時代を彷彿させるのも妙に趣がある。

 舞台は札幌、大雪山、摩周湖、屈斜路湖、根室。特に特徴ある地形や施設が描かれている訳ではないので、言われない限り北海道とは判りません。
 しかし、この作品では北海道は外貨獲得の為に香港化しており、「北海道という異常な状況で」という表現さえ出てくる、とんでもない扱い。屈斜路湖の中島に至ってはマフィアのアジトがあって大量の金と麻薬が備蓄されてしまっています・・・

   北海道度:★


 ゆきうさぎ (LiLiM)

 ありがちマルチストーリーの恋愛ゲーム。
 ゆきんこ、暴力女、天使、悪魔、メイドとなんでもありなのはいいのだが、いろんな事をいっぺんにやろうとして、どれも中途半端に終わっていて、かなり残念な出来。
 前作、前々作のキャラの出し方も脈絡がなく、デザイナーのひとりよがりが目立つ。
 あと、パッケージが巨大。
 ※このゲームは本館にレビューがあります※

 舞台は北海道の山奥。主人公は世界一の金持ちの御曹司なのですが、それすら知られていないようなド田舎として描かれています。
 メインのヒロイン、神代ゆーなはゆきんこ。でも、ゆきんこってなんか北海道より東北ってイメージが強いのですが・・蓑笠もかぶってるし。(成長モードではアイヌもどきの格好をしてますが)

   北海道度:★


 風雨来記 (FOG)

 主人公はライターで、北海道をバイクで単身旅行してWebページの取材を行うという旅行SLG。
 安直なハッピーエンドに流れない衝撃的なストーリーが印象的だが、肝心の取材の方は話が進むとほったらかしになるのが残念。
 あと、主人公はあまりに都会に住む人。北海道の空気を汚すのうんぬんというのなら、まずあんたの跨っている乗り物をどうにかしなさい。


 回れる場所は道東・道北の自然系の観光地中心。  北海道旅行ギャルゲーとしては「北へ。」がありますが、北へ。が道央・道東の都市部が中心で女の子達は「住民」なのに対し本作は道東・道北の自然がメインで女の子達も「旅行者」なのが対照的でした。
   北海道度:★★★


 センチメンタルグラフティ2 (NEC−IC)

 「センチメンタルグラフティ」の続編。前編主人公の葬式というショッキングな場面からゲームは始まる。
 ラブラブ一直線ではあるがストーリーが単調傾向のあった前作とうってかわり、悲しみに沈む女の子とのヤマタニのあるシナリオへ、各種交通機関を駆使して全国を飛びまわった日本特急旅行ゲーム的なシステムも町内を徘徊する同級生方式に、掴み所のなかった主人公もある程度の人格付けをされるなど、大ナタがふるわれている。
 CGがものすごく綺麗なのは、流石はドリームキャスト。

 ※このゲームは本館にレビューがあります※

 今回も北海道は札幌代表・沢渡ほのか。今回は12人とも東京に出てきている設定で、ほのかも大学に通う為に上京、今回主人公と同じ大学の獣医学部に通っています。
 2では前作主人公が死んだ事で大きなダメージを受けて復帰できていないグループと何とか持ちなおしている(かに見える)グループに分かれますが、ほのかはその中間ぐらいの状況でしょうか。元々男性恐怖症気味とかの問題を抱えているキャラですけどね。
 基本的に重い話なので1とは毛色が違うもののシナリオは悪くないし(ただし12人とも同じなのはナニです)、なんせセンチですからキャラの魅力は抜群、CGもむちゃくちゃ綺麗なんですがシステム的には劣悪。前作は何だかんだいってもB級で済みましたが、今回はシステム的には完全に「クソゲー」レベルに達しておりイベント管理部分など完全に「毒」です。新興ソフトハウスならともかく、こんなメジャータイトルをこんなクォリティで発売を決定した人の正気を疑います。
 北海道度:★


 センチメンタルグラフティ (NEC−IC)

 前評判の高さや豪快なメディアミックス展開で一世を風靡したビッグタイトル。
 北は札幌から南は長崎まで、幼い頃に知り合った12人の女の子を訪ねて全国を旅するという、「全国をまたにかけて12またする」とんでもないストーリー。
 全国の観光地を巡る「旅モノ」であったが、惜しむらくは実写背景に強いソフトフォーカスがかかっていて、満足に見えなかった事。(容量もあるけど、権利問題の話もあると思う。「北へ。」もこの問題では結構苦労したらしい)
 女の子はたいへん魅力的だったが、ゲームとしてはB級だった。(夢に出てきてうなされそうな)オープニングも印象的。

 期待の高さから発売直後にクソゲーとして叩かれたソフトですが、発売前に踊らなかった私としてはゲーム的にはB級程度でクソゲーという程ひどくはないという感じで、前評判って高すぎても怖いなぁ・・って思ったもんです。
 全国12都市の女の子が登場しますが、北海道は札幌代表、沢渡ほのか。男性恐怖症(というかファザコン)気味だけど、幼い頃、落馬事故に遭ったときに身を挺してかばってくれた主人公に特別な想いを抱いている。
 私はとしては別にどっちでもいいキャラでしたが、青森代表の安達妙子がお気に入りだったので、彼女に会いに行くついでに札幌に寄り道してました。
 PC移植版が出ましたが、インストールオプションに「CD−ROMドライブが2基必要」な「最小インストール」なるものがあったのには笑えました。
 北海道度:★★


 Kanon (KEY)

 ヒット作「ONE」(PS移植タイトル「輝く季節へ」)の開発スタッフが丸ごと移籍して作ったソフトとして知られるノベル系AVG。
 「北の街で起きる奇跡」を描いたお話で当時流行っていた(今も多いけど)精神世界や観念的な哲学方面に軸足を置いており、「ONE」に比べて方々で進歩は見られるが、本質的な部分では影響を脱しておらず次回作「AIR」がKEYにとって本当の勝負。

 舞台が北海道であると特に断りはなく、単に「北の街」という設定ですが、キツネがウロウロしていたりするのでやっぱり北海道じゃないんでしょうかね・・(内地にもキツネはいますがイメージ的に・・)
   北海道度:★


 お嬢様特急 (メディアワークス)

 北海道から九州までを15日で走る日本縦貫特急「ヴェガ」を舞台にした恋愛SLG。
 列車が舞台なので、舞台の方から観光地に移動していく事になり、なかなかメリハリの効いた展開を見せてくれますが、お目当ての女の子の乗車区間以外はヒマになるのが欠点か。

 ※このゲームは本館にレビューがあります※

 いわゆる「観光ギャルゲー」ですが、観光要素が障害でしかない「センチ」と観光要素の方が強い「北へ。」の中間あたりで、観光ギャルゲーとして最もバランスがとれた作品かもしれません。
 道内の停車駅は始発駅の稚内、旭川、札幌、函館。うち札幌は1日停車して市内観光ができますが、旭川と函館は30分停車で観光は無し。駅のCGが山の中の無人駅みたいで地元の人が見たら怒り出しそう・・
 札幌でまわれる観光地は札幌駅、時計台、TV塔、ラーメン横丁、羊ヶ丘展望台と至ってベーシックでした。
 旭川や函館といった「小停車駅」は山の中の無人駅みたいなCGで、地元の人が見たら怒り出しそう(笑)
 北海道出身・在住者ですが、北海道で乗車する3人のうち、桜井真美と七尾つばさは北海道在住だったような気がするんですが、記憶が確かではありません。そのうち再プレイしましょうかね・・

 北海道度:★★


 PALETTE (フェアリーテール)

 至って普通のギャルゲー。メイドとかロボとか病人とかの「飛び道具」を使わずにレベルの高い作品を作ったF&Cに感心したが、この後ぐらいから総崩れの感が・・
 どっちかといえばお手軽系に属する作品だが、メインヒロインが選択できる「ヒロインセレクト」により、微妙に設定や展開が異なるシナリオが楽しめるので結果的にはそれなりのボリュームになっていた。

 ※このゲームは本館にレビューがあります※

 道民は幼い頃に母親をなくし、北海道の祖父母に育てられた萌木玉緒。脱サラした父親に引き取られ、主人公と同じ学校に通う事になり・・・北海道の祖父母、父親、主人公の間で揺れる心がストーリーの勘所。玉緒EDの場合、北海道まで追いかけて行って函館山の夜景の中で告白される事になります。
 F&Cの力を見せ付けた佳作だと思うのですが、「With You」の反動かあまり売れなかったようで、発売直後から値崩れを起こしており、資本主義の難しさを感じさせてくれました。
 北海道度:★★


 To Heart (リーフ)

 恋愛ノヴェル系の代表作。ロボット、お嬢様、ガイジン、超能力者、格闘家、関西弁、貧乏となんでもアリな設定だが、違和感なく纏まっていた不思議な作品。
 キャラによってはシナリオの出来に大きな差があったが、出来の良い方のシナリオはまさに「珠玉」と呼ぶにふさわしいものがあった。
 大ヒットした為に大量の亜流を生んだが、部分的にでも本作を超えているという作品はそれほど多くは無い。後にPSに移植されたが、「移植作品かくあるべし」というべき素晴らしい移植だった。

 どっちかといえば「知る人ぞ知る」的なイメージのあったリーフの芸風を一転させたターニングポイント的な作品。「雫」「痕」のような奥行きの深さが失われたのは残念だけど、その分間口は広くなり、小さな会社(というかリーフは会社ですらない)がちゃんとした会社になる課程としては理想的な手順ではありました。
 北海道出身者は姫川琴音。超能力少女。その力ゆえに意識的に他人との付き合いを絶っていますが、実は動物と絵が好きなやさしい女の子。
 彼女はPC版、PS版、OVAで微妙に設定が違っていますが、PC版は救いが無いような気もします。OVA版では浩之ではなく雅史とくっつくという点が特徴。
 あと、本作は修学旅行の行き先が北海道ですが、ストーリーが「修学旅行まで」の話なので、本編ではあかりシナリオなどで少し話が出てくるのと、PC版葵シナリオなど修学旅行後にエピローグがくるシナリオで多少言及される程度です。
 北海道度:★


 ときめきメモリアル/2 (コナミ)

 パラメータを上げつつ女の子とデートを繰り返して行くという、恋愛SLGの基本スタイルを確立した記念碑的名作。「パイオニアは常に偉大」だけでなく、ゲームとしても非常にしっかりしており、後に山ほどでた類似品に一線を画し続けた。
 満を持して発売した2も、基本的なところは前作を継承しつつ、ディスク5枚組の大作となり、プレイヤーの名前を音声で呼んでくれるEVSなどスケールメリットをフルに活かした上に時流にあわせてか身近なヒロインを導入するなど「続編かくあるべし」という作品に仕上がっている。

 ※この作品は本館にレビューがあります※

 1は本当にメモリアル的な作品。「すべてはここから始まった」みたいな所があります。
 2は1が出て相当経つので、3年という長い目のゲーム期間などシステム的に若干古さを感じさせる部分が無い訳ではありませんが圧倒的物量を活かしきった点は流石です。
 1・2とも修学旅行先に北海道が選択可能。キラーヒグマが出て来たり、正義のマタギが現れたり、宇宙人が出て来たりと北海道の人は気を悪くしそうですが・・・あと、途中で転校しちゃう楓子ちゃんとは小樽運河で再会できます。
 北海道度:★