絵葉書ギャラリー <秋月>





秋月・絵葉書の袋 秋月・絵葉書1 秋月・絵葉書2

 <秋月>は第四次軍備充実計画(昭和14年)で計画された防空艦です。水雷戦による敵艦隊撃破を目的とした従来の大型駆逐艦と異なり、強力な対空火器により味方艦隊を護る事を目的としていました。
 長10センチ砲8門という重武装と機動部隊に随伴する為の長い航続距離と高速が要求されたために艦が非常に大型となり、竣工時の排水量は2701トンと日本駆逐艦で最も大きな艦となりました。
 <秋月>は昭和17年8月に竣工、ミッドウェイ海戦の衝撃もあり、相当な期待を背負ってのデビューだった筈ですが、どういう訳か空母を衛って戦う機会は中々おとずれず、ソロモン方面で普通の駆逐艦として使用されたりもしました。
 <秋月>の終末は昭和19年10月25日、比島沖海戦(エンガノ沖海戦)。この戦いは日本機動部隊の最後の戦いでもあり、機動部隊を護るべく建造された<秋月>は護るべき機動部隊と共にその生涯を終えたのでした。

 元々、日本海軍の絵葉書、特に進水記念絵葉書は艦型が識別できるほど詳細な絵や写真が付いている事は稀なのですが、この絵葉書は特に顕著で、秋月型の主要な識別点(前部主砲が2基ある事とそれにより艦橋の位置がやや後ろよりになっている事、煙突が誘導されて1本になっている事など)が完全にはずされており、最新型の防空駆逐艦である事を示唆するものは全くありません。
 これは秋月がネームシップ、すなわち最新型である事と進水が昭和16年11月21日と開戦直前のきわどい時期だった為であると思われます。
 詳細な船の絵が描けないからイメージで勝負したのか、大きな満月、椛に雁に薄。いかにも「秋の月」って感じの絵ではあります。
 「秋」だから仕方ないとはいえ、最新型駆逐艦の進水記念としては少し物悲しい感じがしないでもありませんが・・・

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