命令航路

 命令航路とは、役所が特定の会社に「この航路で船を運航しろ」と命令した航路で、日本の動脈というべき航路でした。(補助金が出ます)
 メインは下に挙げた逓信省の命令航路ですが、地方庁(各府県)も命令航路を持っていました。
 こちらは主に本土と離島を結ぶ路線で、受命者も零細の内航業者が主で、東京府命令航路の父島母島硫黄島線のように個人が受命者となっている航路すらありましたが、大阪商船(沖縄県先島線)や近海郵船(北海道千島函館線、東京府小笠原線)などの大手が請け負っている路線もありました。また、石川県と富山県は合同でウラジオストック航路を命令航路としていました。
 さらに、朝鮮総督府と台湾総督府も内地とそれぞれの地域を結ぶ航路を命令航路としていました。


逓信省命令航路
分類区間指定寄港地頻度受命会社
郵便定期横浜=ロンドン神戸、上海、香港、シンガポール、コロンボ、アデン、ナポリ、マルセイユ2週1回日本郵船
横浜=メルボルン神戸、長崎、香港、マニラ、ダバオ、木曜島、ブリスベーン、シドニー1月1回日本郵船
北米香港=横浜=サンフランシスコ上海、長崎、神戸、横浜、ホノルル4週1回日本郵船
神戸=シアトル横浜、バンクーバーまたはビクトリア3週1回日本郵船
南米横浜=ブエノスアイレス(往)神戸、長崎、香港、シンガポール、ケープタウン、リオデジャネイロ、サントス
(復)サントス、リオデジャネイロ、クリストバル
3月2回大阪商船
香港=横浜=パルパライソ門司、神戸、横浜、ホノルル、マンサニーヨまたはサンタクルス、カイヤヲ、イキーケ2月1回日本郵船
アフリカ神戸=ケープタウン(往)門司、香港、シンガポール、コロンボ、モンパサ、ザンジバル、ダレサラム、パイラ、ローレンスマルクス、ダーバン
(復)往路と同じなるもパイラ、ダレサラム、コロンボ、香港は通過
1月1回大阪商船
南洋ジャワ神戸=スラバヤマカッサル、スラバヤ、サマラン(スマラン)、バタビア3週1回南洋郵船
支那沿岸天津=上海=広東青島、上海、汕頭、香港1月3回日清汽船
支那上海=漢口鎮江、南京、撫湖、九江1月10回日清汽船
漢口=宜昌沙市1月3回日清汽船
漢口=長沙 1月2回日清汽船
漢口=常徳 1月1回日清汽船
宜昌=重慶万県1月4回日清汽船
上海長崎=上海 4日1回日本郵船
横浜=上海(往)名古屋または四日市、大阪または神戸、門司
(復)名古屋または四日市
1月5回日本郵船
北支神戸=天津門司1週1回近海郵船
横浜=牛荘(往)名古屋、大阪、大連
(復)名古屋
1月3回近海郵船
横浜=天津(往)名古屋、大阪または神戸、大連
(復)大連
1月2回近海郵船
大連神戸=大連門司1週2回大阪商船
青島神戸=青島(往)門司
(復)広島、門司
1月6回日本郵船
大阪商船
原田汽船
日本海敦賀=ウラジオストック清津1週3回北日本汽船
函館=大泊(往)小樽、真岡
(復)小樽
1月5回
1月10回(冬季)
近海郵船
函館=ペトロバブロフスク(往)小樽1月1回栗林汽船
内航鹿児島=那覇名瀬1月1回大阪商船
大阪=那覇神戸、名瀬1週2回大阪商船
青森=室蘭 1日1回北日本汽船
敦賀=清津羅津、雄津1月3回北日本汽船
寄港補助郵便(横浜=ロンドン)ベイルート、イスタンブール、ビレウス、アレキサンドリア(往)各3月2回
(復)各3月1回
日本郵船
北米(横浜=紐育)ハバナ(往)3月1回
(復)2月1回
日本郵船