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 日本最低峰訪問記 
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大阪天保山

 大阪市の安治川河口にある天保山は標高4.5m、正式な地図に記載されている山としては日本最低峰として知られている山ですが、ここは日本海軍の編成以前に日本で初めて観艦式が行われた、「海軍発祥の地」のひとつでもあります。
 今回は最低峰をアタックすると共に、天保山岸壁で船をみてきました。

天保山山頂の看板  
天保山山頂の看板
天保山山頂の看板  
天保山山頂・観艦式記念石塔
ぱち天保山  
ぱち天保山

 地下鉄中央線「大阪港」下車、徒歩数分で天保山公園。
 天保山公園の入り口から入るととすぐに小高い丘があります・・が、これは天保山ではなく、ただの丘。本物の天保山よりも高い為、間違える人も多いらしく、てっぺんには天保山山岳会の看板がありました。
 ぱち天保山から少し降りた所が本物の天保山山頂。ここにも山岳会の看板が立っており、記念証の発行の案内もありました。
 天保山は天保年間に大阪港の浚渫を行った際に出た土を積み上げて作られた人工の山です。ちなみに、大阪市にはこの手の山として他に鶴見新山(鶴見区。ゴミの埋めたてで作った山。標高40mぐらい[沈下中])、昭和山(大正区。地下鉄を掘った土で作った山。標高35m)などがあります。

 山頂にある天保山の標高より高い石塔は昭和4年に建てられた観艦式記念石塔。
 明治元年(正しくは慶応4年)3月26日、鳥羽・伏見の戦いで優勢を確立した新政府は御親征の大号令を発し、大阪・天保山沖で「海軍天覧」−我が国初の観艦式−が行われました。
 当時はまだ日本海軍などというものはなく、参加艦艇は諸藩から集められた諸藩連合艦隊で海軍総督嘉言親王の座乗する<電流丸>以下<万里丸><千歳丸><三邦丸><華陽丸><万年丸>の6隻にフランス海軍の<デュープレックス>が加わり合計7隻で実施されました。
 日本海軍の観艦式は観閲艦隊(見る側)、受閲艦隊(見られる側)の両方が航行する「移動式観艦式」が伝統ですが、当然ながら当時はそんな伝統はなく、明治帝は天保山の砲台からご覧になられ、その前を受閲艦隊が通過するという「逆停泊式」(本当の停泊式は停泊している受閲艦の間を観閲艦が移動する)で行われました。
 諸藩連合艦隊6隻の排水量は合計2452トンと全艦で<デュープレックス>に殴りかかっても勝てたかどうか怪しい戦力でしたが20年後に実施された明治23年の神戸沖で実施された海軍観兵式では19隻32000トンに増加、海軍最後の観艦式となった昭和15年横浜沖の紀元二千六百年特別観艦式では98隻622000トン+航空機527機にまで膨れ上がりました。

大阪市渡船<海桜>  
市営渡船<海桜>
大阪市渡船<海桜>  
海上保安庁 巡視船<かつらぎ>

 登った側から反対側に降りると天保山渡。対岸の桜島までの全長370mの航路を結ぶ市営渡船、交通局ではなく建設局が運航しており、橋扱いなので運賃は無料。
 就役船は<海桜>。1992年に就役した渡船で18総トン、速力9.43ノットで定員80名。建設局管轄の渡船としては最大・最速です。(市営渡船で最大なのは港湾局管轄木津川渡の<第二松丸>19総トン)

 その横の天保山大橋の下の桟橋には海上保安庁の巡視船PS−104<かつらぎ>と巡視艇少々、市の消防艇が停泊していました。
 <かつらぎ>は「海洋新秩序」という、海洋と世界を間違えると航空母艦になりそうなモノに伴い建造されたあかぎ型の沿岸用小型巡視船。最近のPSシリーズは不審船対策のスピードアップの為にウォータジェット化して35ノットを確保しており、28ノットしか出ない<かつらぎ>ははっきりいって旧式です。まあ大阪湾で不審船がウロウロするようではどうしようもありませんから、これでいいんでしょう。
 このクラスは12.7ミリ機銃を1基搭載できるのですが、前に聞いた話では第五管区所属の<かつらぎ>や<こんごう>には普段はつけてないとの事なのですが、何故か機銃を装備していました。不審船対策でしょうか?それともテロ対策でしょうか?

 もどって反対側に進むと高速船の旅客ターミナル。高松航路の<びっぐあーす>がいました。
 明石大橋が出来て以来、阪神−四国航路は苦戦を続けており、各航路とも次々と減便・撤退に負いこまれていって居ますが、この航路も関西汽船や加藤汽船の撤退を受けて開設された航路ですが、頼みの綱のUSJの旅客も今一つのようで、今後はどうなるのでしょうか?
 あと、隣に播淡聯絡汽船の神戸航路の<まりーんふらわあ>が居ましたが、この船はUSJ直航で天保山には寄らない筈なんですが、なんででしょう?ユニバーサル・シティポートは混むから、出番までこっちに移ってるのでしょうかね・・たしか、ここは採算が取れずに土日祝のみの運航と大減便になったようです。

天保山岸壁  
天保山岸壁と天保山大橋
キャプテンクック  
キャプテンライン 旅客船<キャプテンクック>
人魚像  
人魚像

 さらに進むと天保山岸壁。大阪港にクルーズ客船が入ると、普通はここに接岸する大阪港の表玄関です。
 ハーバービレッジの海遊館やら観覧車のすぐ裏ですが、あんまり人が居らず閑散としていました。表側には流石に閑散とまではいかない程度の人は居たのですが、それでも少なめ。土曜のお昼だったのですが・・やっぱりUSJに客を吸い取られているのでしょうか。

 端っこには大阪港遊覧船<サンタマリア>。コロンブスがアメリカ大陸を発見した時の旗艦である<サンタマリア>を模して作られた遊覧船ですが・・・でも、なんで大阪港でサンタマリアなんでしょうかね。
 サンタマリア乗船口のところで折れるとUSJ行きのシャトル船の乗船口。水上バスの<ハリウッド>とキャプテンラインの<キャプテンクック>が居ました。(<キャプテンシルバー>も居るはずですが見当たりませんでした)
 キャプテンラインの船は船長・機関長から綱取り・券売までクルー全員が女性という事で、ちょっと話題になりました。

 シャトル船桟橋のある岸壁の隅っこには大阪府警の船が何隻が泊まってましたが、その手前の岸壁のすぐ近くの海面に変な物体を発見したので行って見ると・・・
 人魚像のようです。コペンハーゲン港にある奴のパクリ? と思っていたら銘板発見。それによるとコペンハーゲン港との文化交流の一環としてもらった物で、オリジナルの作者のエドワード・エリクセンの志を継いだエリクセン財団が制作したもの、との事。少なくとも「ぱちもん」ではないわけですね。
 でも、そんな貰い物をこんな寂しい隅っこに置いておいていいんでしょうか。それとも、すぐ横の広場には「マーメイド広場」と名づけられているようなので、賑やかな場所にする予定だったのが、単に人が来ないだけなんでしょうかね・・・

 道はここで終わっていたので帰る事にしました。
 シャトル船か市営渡船で対岸に渡る事も考えたのですが時間がちょっと中途半端だったので次の機会という事に。渡船は前に乗った事ありますしね。
 ハーバービレッジの横を取って地下鉄駅まで戻ったのですが・・やっぱり人が少ない。全く居ない訳じゃありませんが本当に大丈夫なんでしょうか?