昭和9年度計画の水上機母艦。

 同年度計画の千歳型とほぼ同寸、同用途の艦であるが、千歳型がディーゼル・タービン両用艦なのに対し、瑞穂はディーゼル専用艦として建造された。

 千歳型が29ノットであったのに対し、瑞穂の計画速度は22ノットで、機関の調子が完調であったとしても、空母としての運用は困難であり、より高性能なディーゼル機関が完成した暁には換装する計画になっていたのかもしれない。
 その上、瑞穂に搭載された艦本式11号8型ディーゼルは完全な失敗作で、完成直後は最高速度17ノットという悲惨な状態であったが、戦況逼迫の折りから、いきなり第四艦隊の旗艦として支那方面に投入された。

 本艦の外見上の特徴は、なんといっても「煙突が無い」事である。
 ディーゼル艦なので当然といえば当然なのだが、やはり「あるべき筈の物が無い」という違和感を感じてしまう。
 また、千歳型の特色の「機銃甲板」は作られず、フラットのみが設置されている。
 武装は千歳型より強力で、前方に対する対空射撃能力は我が艦艇でも有数に強力なものとなっている(12.7センチ砲6門、25ミリ機銃4丁)

 開戦後、内地に戻り主機の再整備を行い、全力発揮が可能となったが、その1ヶ月の昭和17年5月2日、御前崎沖で米潜<ドラム>の雷撃を受けて沈没、我が「軍艦」最初の喪失艦となってしまった不運艦である。
 

瑞穂要目(新造時)

 名  称   瑞穂
 ネームシップ  
 建造時期  昭和14年2月25日
 建 造 数 1隻
 基準排水量  10929トン
 全  長   183.6m
 水 線 幅   18.8m
 吃  水   7.08m
 主  機   艦本式11号8型ディーゼル4基 
 推 進 軸 2軸
 主  缶   (ディーゼル推進艦)
 出  力   15200馬力
  計画速力  22ノット(実際には17ノット程度)
 航 続 力 16ノットで8000浬
 燃料搭載量  重油1200トン(別に補給用として3348トン)
 乗  員   689名
 兵  装   12.7センチ40口径連装高角砲 3基
 25ミリ連装機銃 10基
 搭 載 機  24機(射出機4機)