昭和14年度計画の新型駆潜艇。

 手段の為に目的を忘れ、高性能ではあるが量産実験艦なのに工数・建造費とも量産に不向きとなってしまった4号型の反省に基づき建造されたのが本型である。

 特に4号型で精緻に過ぎるとされた船体構造は商船標準の厚板を採用、抜本的な構造簡略化を図り主機も供給能力に余裕のある艦本23式8型が選定された。
 また、船体は思い切って大型化し、航海性も大幅に改善され、吃水を深くとる事で旋回性能と水測性能が飛躍的に向上したが、反面、速力は16ノットに低下している。
 個艦優越主義の日本海軍の中で、生産性向上の為に性能を犠牲にしたというのは非常に珍しい事である。

 主砲が8センチ高角砲に変わっているが、これは別に防空力を期待したのではなく、従来の40ミリ機銃では潜水艦の内殻を貫通する事が難しい事が判明した為であるが、図らずも投入された水上護衛戦ではそれなりに意味があった。

 本型より、駆潜艇が艦艇に昇格し、「駆潜隊」を組織するようになった関係から、司令座乗の為の設備も後期艇より追加されている。
 航海性能が向上したといっても、従来の駆潜艇よりマシという程度あったがアリューシャンからラバウルまで、太平洋を縦横に駆け巡り、特に大戦末期のサイパンへの絶望的な輸送作戦へ従事した。



第13号駆潜艇要目(新造時)

 名  称   第13号型
 ネームシップ  第13号駆潜艇
 建造時期  昭和15年7月15日〜昭和17年1月28日
 建 造 数 15隻
 基準排水量  438トン
 全  長   51.00m
 水 線 幅   6.70m
 吃  水   2.75mm
 主  機   艦本式23号8型ディーゼル機関 2基
 推 進 軸 2軸
 主  缶   −−−
 出  力   1700馬力
  計画速力  16ノット
 航 続 力 14ノットで2000浬
 燃料搭載量  重油16トン
 乗  員   68名
 兵  装   8センチ単装高角砲 1基
 13ミリ連装機銃 1基
 爆雷36個(投下条1基 投射機2基) 
同型艦:
第13号〜第27号