大正12年、ワシントン条約による改定計画による峯風系駆逐艦の最終型。

 従来の一号機雷対策として、日本駆逐艦の特徴であった独特の艦首「スプーン・バウ」を改定し、一号機雷対応で、クリッパー型に準ずる速度効果の得られる「ダブルカーブド・バウ」を採用、この艦首は太平洋戦争まで、新たな日本駆逐艦の特徴となった。

 武装は、最新型の12年式三連装魚雷発射管を装備、53センチから61センチとなり、飛躍的に雷撃力が強化された。
 また、峯風、樅系の積年の問題であったタービンブレードの損傷事故や缶の腐蝕事故もほとんど無くなり、使用実績は上々で、長らく第一線で活躍し、12隻全艦が駆逐艦として太平洋戦争に参加、全艦が戦没している。


睦月型の戦い:機銃で沈没 〜如月〜

 いかに駆逐艦が「ブリキ缶」とはいえ、1000トン以上もある鉄の塊であるから、12ミリやそこらの機銃などでどうこうなる代物ではない(もちろん、艦橋の艦長や先任将校に当たると大事だし、あまりたくさん機関にあてると当然、機嫌は悪くなる)
 しかし、<如月>は開戦3日目の昭和16年12月11日にウェーク島攻略戦で米戦闘機の機銃掃射を受けたが、よりによって爆雷に命中し、誘爆して沈没するという極めて不幸な最期を遂げた。
 なお、その後、爆雷は改良され、機銃弾ぐらいでは誘爆しなくなった。


睦月型要目(新造時)

 名  称   睦月(第一九号駆逐艦)型
 ネームシップ  睦月(第一九号駆逐艦)
 建造時期  大正14年12月21日〜昭和2年7月25日
 建 造 数 12隻
 基準排水量  1315トン
 全  長   102.7m
 水 線 幅   9.2m
 吃  水   3.0m
 主  機   艦本式オール・ギヤードタービン2基 ※ 
 推 進 軸 2軸
 主  缶   ロ号艦本式水管缶4基(重油専燃) 
 出  力   38500馬力
  計画速力  37.3ノット
 航 続 力 14ノットで4000浬
 燃料搭載量  重油422トン
 乗  員   154名
 兵  装   12センチ45口径単装砲 4基
  7.7ミリ単装機銃 2基
  61センチ三連装魚雷発射管 2基
  一号機雷 16個

※<彌生>はMVラトー式、<長月>は石川島ツェリー式を採用