明治30年、帝政ロシアとの戦争を睨んだ第二次拡張計画によりソーニクロフト社に追加発注されたシリーズ。

 系統的には東雲型の後継艦であるが、外見上はヤーロー社の雷型や暁型に近い四本煙突となっている。
 暁型同様、危険な半釣合舵を釣合舵に改正した他、機関出力も大幅に向上し、<白雲>は公試に於いて31.819ノットの高速を記録している。

 本型を以って英国からの駆逐艦輸入は完了し、以後は第一次世界大戦中の貸与艦を別とすれば、純国産の道を歩むことになる。


白雲型の戦い:対馬沖の大戦果 〜白雲・朝潮〜

 白雲・朝潮は第四駆逐隊を編成して日本海海戦に参加。
 昼戦では味方戦艦群の猛攻で落伍したロシア艦隊旗艦<スワロフ>を襲撃、続く追撃戦(夜戦)では300mまで肉薄し、戦艦<ナワリン>を撃沈、一号機雷の原形ともいうべき連係水雷を用いて戦艦<シソイ・ヴェリキィ>撃破するという大戦果を納め、日本水雷戦隊の幕開けを飾った。



白雲型要目(新造時)

 名  称   白雲型
 ネームシップ  白雲
 建造時期  明治35年2月13日〜明治35年5月4日
 建 造 数 2隻
 常備排水量  322トン
 全  長   65.9m(水線間長)
 水 線 幅   6.3m
 吃  水   1.9m
 主  機   直立4気筒三連レシプロ蒸気機関2基
 推 進 軸 2軸
 主  缶   ソーニクロフト式水管缶(石炭専燃) 3基 
 出  力   7000馬力
  計画速力  31ノット
 航 続 力 記録なし
 燃料搭載量  石炭95トン
 乗  員   62名
 兵  装   8センチ単装砲 1基
   57ミリ単装砲 5基
  45センチ単装魚雷発射管 2基



白雲の航跡

白雲 Shirakumo
明治35年2月13日、英ソーニクロフト社にて竣工、軍艦(駆逐艦)に類別
明治38年12月12日、駆逐艦に類別変更
大正元年8月28日、三等駆逐艦に等級変更
大正11年4月1日、特務艇に転籍
大正12年4月1日、雑役船に編入
大正14年7月21日、実艦的として海没


朝潮 Asashio
明治35年5月4日、英ソーニクロフト社にて竣工、軍艦(駆逐艦)に類別
明治38年12月12日、駆逐艦に類別変更
大正元年8月28日、三等駆逐艦に等級変更
大正11年4月1日、特務艇に転籍
大正12年4月1日、雑役船に編入
大正14年5月2日、廃船