ライアーソフトの18禁ノベルAVG。
ライアーといえば行殺新選組やブルマー2000など馬鹿ゲーとしかいいようのない吹き飛んだ設定の中に割としっかりした話を組み立ててくる会社というイメージがありましたが、今回は正統派の伝奇物でした。
ストーリーは関東最後の秘境・稲荷社(とうかんもり)で人を自滅に誘い赤い雪に変えてしまう「腐り姫」をキーに、父と妹が心中し自身も記憶を失った主人公、盲目の義理の母、素直じゃない義理の妹、記憶を取り戻そうと迫る従姉、東京に連れ戻そうとする恋人、そして「腐り姫」蔵女が織り成す、いわゆる「田舎伝奇物」です。
ゲーム期間は4日間。「ずま」や「インフィニティ」のように同じ日を何度も繰り返すタイプの作品で多周回プレイが原則になります。
設定や序盤は非常に良い雰囲気なのですが、終盤はやや積め込みすぎ+練りこみ不足で駆け足になったり、話があまりにも交錯してしまっているのが残念な所です。
システム的には並。コントロールパネルが直感的ではない点はやや減点。一番拙いのは特定のEDに到達すると未読情報と達成ED情報(タイトル画面に家具が追加される事で表現)がクリアされてしまう「仕様」で、これだけはどうにかならんかったのかと思います。
キャラクターは一見、ステレオタイプですが実にいやーんな裏があったりします。義母や従姉もかなりいやーんですが、何より実妹の樹里は「お兄ちゃん好きの病弱な妹」と全くの王道を歩んでいそうなキャラでしたが、実は歩んでいたのは修羅道だったという大変怖いキャラでした。
本作はソフ倫審査作品なので実妹との明示的なHシーンはありませんが、ほとんど示唆、あるいは主人公(兄)と父親の二択みたいなシーンがあるんですが、なんで大丈夫なんでしょう?年齢制限は既にザルですが血縁もザルになりつつあるんでしょうか?
レーティングは1/2。ヒロイン達が「腐り姫」により次々と赤い雪に変えられてゆく話なので死については1種認定。
病気の方は主人公が実妹と父親との心中事件の影響で記憶喪失なのと義母が盲目、恋人が足が不自由と各種揃っていますが、特に強い話ではないので2種認定。
私的評価は中の中。まあ、それなり。新境地としてはそこそこで次作を期待させるだけのものはありますが、設定や序盤に強く終盤が弱いライアーの性質から考えるとシリアス路線より馬鹿ゲーの方が向いているような気もします。
お気に入りは・・あんまり萌えとか、そういう話じゃないですが一人あげるとすると伊勢きりこですかね。
主人公を東京に連れ戻そうとする自称恋人、足が不自由。いやーんなキャラな多い本作では凄くマトモにみえます。
前出の伊勢きりこ。足が不自由な主人公の恋人。
日本海軍のは戦艦<伊勢>、大正6年竣工の戦艦。本来は扶桑型の3番艦として計画されていましたが、予算の都合で着工が遅れた事から設計が見なおされ、新型として竣工、長らく長門型に次ぐナンバー3の花形として日本海軍を支えました。
太平洋戦争では後部主砲をとっぱらって飛行甲板とし、艦爆22機をカタパルトで射出する航空戦艦に改造されますが、飛行甲板が短いので収容は不可能で、ある種の片道兵器でした。(収容可能な水上爆撃機の利用も計画)
戦艦としても、航空戦艦としても殆ど活躍する場面は与えられず、活躍といえば、比島沖海戦で囮として米機動部隊を引きつけたのと、その後の北号作戦〜連合艦隊が南方から本土に撤収する際に積めるだけ物資を積んで帰ろうという作戦〜で大量の重要物資を本土に輸送したぐらいでした。
終戦時は空襲により着底状態。戦後に解体されました。