めい☆ぷる
 めい☆ぷる

  スイートバジル 定価:8800円  発売:2002年1月
ロボットなので正しくは「故障」ですけどね。病気または不具合がそれなりの重みでシナリオにかかわっています。

 スイートバジルの18禁AVG。
 メイドロボ、妹みたいなメイド、幼馴染の巫女、メカフェチおねーさんと清清しいまでに狙った属性攻撃ものです。

 ロボット研究者の父親と妹みたいに接しているメイド(美桜)と3人で暮らしていた主人公の家に父が作った試作メイドロボ(梨乃)がやってきて、彼女をきっかけに色恋沙汰が起きるという、ロボ子物の王道をいく舞台設定。
 ストーリーの方もロボ子が心を得ていく課程がキーな、これまた王道。
 設定もストーリーもがっちり王道で固めてしまうと、最終的に脚本や構成力勝負になるのですが、王道勝負にもってくるソフトハウスはこれらが決定的に不足していることが多く(いわゆる萌えで勝負するしかない)駄作か凡作に落ちつく事が多いのであんまり期待せず、まあ普通に遊べればいいか・・と思って購入しましたが・・・

 ゲームとしてはかなり駄目。移動先選択型で移動先にイベントがある個所には表示があるのですが、誰のイベントかまでは判らず、おまけに攻略キャラのイベントや好感度も必須条件にある事が有る為、結局、試行錯誤することになります。
 また、一般イベント(遭遇イベント)の数が少ないので何度も同じイベントを見る必要がある上にバッドEDルート(誰のルートにも入らない)と最終日まで延々と同じイベントが繰り返し発生し、おまけに大イベントの関連が巧く取れていなく、大イベントによりその場にいないキャラの一般イベントが発生するという一世代以上前の作品のような作りです。

 ゲームシステム(プラットフォーム)はよく出来ています。スキップは早いし、ホイールによる読み返しもあるし選択肢からでも読み返せるし、読み返し範囲も充分に長いので合格点クリア。
 セーブは30箇所、クイックセーブもあります。移動画面ではクイックセーブはできませんが、通常セーブはできるので、問題なしです。

 シナリオの方はキャラによって偉く差があります。
 梨乃シナリオはロボットが感情を得ていくというロボ子物の王道ですが、既存の作品を強く意識しているのか、「主人公が耐久消費財を愛するという『アブノーマル』な行為を受け入れた理由」とか「将来の問題」などがちゃんと解決されます。また、肝心の梨乃もツボを押さえていていい感じです。
 美桜シナリオではロボット物の逆パターン。ロボットの登場で自分の「居場所」を失う事を恐れるさまが「妹みたいに接してきたメイド」という微妙な立場も手伝って巧いこと表現されおり、中盤の「ご主人様モード」も大変痛々しくて非常に良い感じ。後半が積めこみすぎで話が拡散してしまい、しっかり纏められていないのが残念な所。
 涼音シナリオはグランドストーリーというべきシナリオで作りとしては悪くないのですが、本筋ならは梨乃か美桜級のヒロインで片付けるべきで、中盤以降に出てくるキャラにまわすのはどうと・・・
 柚香シナリオは「はい、そうですか」みたいな印象しか受けない、ただそれだけの話。柚香は幼馴染で巫女という強烈な属性をもっているのに全く活かせておらず、なんでここまで差が出るかなぁ・・・って感じです。
 最後にバッドEDコースは・・延々と繰り返される遭遇イベント、不自然かつ断片的に起きる各キャライベント、脈絡なく始まるHシーンと「よくここまで悪く作れるなぁ・・」って感心してしまうぐらいろくでもない代物です。

 死にゲー/病みゲーの格付けは特2/2と認定。死にゲー対象は梨乃なので正しくは「故障」なんですが、彼女は心を持っているから「死」としても構わないでしょう。
 病気の方は梨乃の不具合でメモリ内容が脱落するのと梨乃に対抗して無理した美桜が過労で倒れます。

 私的な評価は・・中の中、「凡作」。システムと柚香シナリオの駄目さ加減はクソゲーの資格充分ですが、梨乃と美桜に免じて、ここまで引き上げます。

 お気に入りは美桜。ロボットに対抗して自分も完璧なメイドになろうとする「ご主人様モード」が痛々しいやら何やらでもう・・・
 少し後半を整理すれば魂の名作になった可能性もあるのに、惜しいもんです。


めい☆ぷると日本海軍

 「めい☆ぷる」の若葉は明るいけどどんくさい、級友からパシリ扱いされている女の子。梨乃との出会いがいい方向に働きます。
 なにか大きな役割でも果すかと思われていましたが、ただの脇役でした。

 日本海軍のは駆逐艦<若葉>。昭和9年10月竣工の初春型駆逐艦。初春型は軍縮条約により従来の特型を若干縮小させた中型駆逐艦ですが、旋回中に大傾斜するという不具合が発生、さらに友鶴事件・第四艦隊事件で設計の危うさが発露した為に大改装を行う事となり、戦列に加わるまでに竣工からさらに数年を要するという大難産の末に産まれました。
 第一水雷戦隊に属し仏印進駐の示威作戦に参加、太平洋戦争開戦時は内地にありましたが17年1月から南方に進出、3月からは北方を舞台に活躍します。
 北方での作戦では18年3月、アッツ沖海戦から帰投中のホロムシロ湾で駆逐艦<雷>と衝突、さらに7月にはキスカ島撤収作戦中に駆逐艦<初霜><長波>と二重衝突事故を起こして戦列から落伍しています。
 昭和19年、連合艦隊最後の大作戦である捷一号作戦(比島沖海戦)では台湾からレイテ湾突入を目指す志摩艦隊に属しますが、マニラ輸送作戦に分遣された為にスリガオ海峡には行っていません。しかし、輸送作戦後、本隊を追って南下中に米軍機の攻撃をうけて沈没するという、基本的に不運な艦でした。

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