Moe 〜萌黄色の町〜
 Moe 〜萌黄色の町〜

  ユニゾンソフト/ソフパル 定価:8800円  発売:2000年2月

 18禁アドベンチャーゲーム。
 マップ上の場所を画面を選択し、その場所に女の子が居れば会話ができ、イベントを重ねていく典型的な恋愛ゲーム。
 最近思うのですが、この移動先選択とフラグ探しに終始する分岐ってどーにかならんのでしょうかねぇ・・昔々、キーボードからコマンドの文字列を入力するコマンド入力型アドベンチャーゲームなるものがあったのですが、ストーリーとは関係ない「言葉探し」に終始するとして次第に廃れていきました。昨今の移動先選択や選択肢によりストーリーが変化しない、あるいはハッピールートから落ちるだけのシナリオって、結局は「言葉探し」と変らないような気もします・・・まあ、これは本作にも限った事じゃなくて、一部のノヴェル系の作品を除くと、ほとんどの作品〜「To Heart」や「同級生」のような希代の名作とされる作品すら〜で言えることなんですけどね。

 プレイ期間は1ヶ月弱。平日は学校と街で2回の移動と時々おこる強制イベント、休日は移動選択なしのイベントのみで1プレイに要する時間は1時間強(スキップを多用すれば30分以下)、マップ上に女の子の位置が標示されているので、移動選択をミスる事はないし、イベントの選択肢も特に理不尽なものは無いのでかなりお手軽に楽しむことができます。

 システム面のウリは「ひみつメモ」。イベントなどに対する主人公のコメントが見れたり、すでに見たCGがいつでも見れるというもの。特に「凄い」という訳でも「便利」って訳でもありませんが、まあいい感じです。セーブは24ヶ所、サムネイル画像付きで親切ですが、立ちCGの表情は多いけどイベントCGやシーン固有のCGが少ないので、あまりシーン識別にはならないのですが・・・
 絵はいわゆるアニメ絵で特に癖の無いあっさり味。音楽もあっさり味でストーリーの邪魔をしないかわりに強く印象にも残らない普通の曲。
 シナリオは攻略可能キャラが幼馴染、お嬢様、病人、猫、ロリ、年上の6人。三角関係、実力行使、和服、嘘、猫又、家出、記憶喪失、先生など、比較的強い小道具を使い、「死にゲー」だったり、強烈な性格のキャラがいたり、展開が凝ってたりと、個々のイベントや各キャラ単体ではそれなりのインパクトがあるのですが、何故かトータルでは妙に薄味な印象を受けました。
 比較的テキストが淡白な事や通常イベントにほとんど一枚絵が無いのが原因でしょうか。

 私的評価は話、絵、音楽とも薄味で、タイトルみたく「萌え〜」には届きませんが、お手軽な難易度と適当な水準で普通に遊べたので、中の中、及第点とします。

 お気に入りは、回想シーンのゆりかちゃん・・ってのは冗談で(幾らなんでもそこまでは病んでません)・・どのキャラもそこそこ良いのですが、決め手に欠けるというのが正直なところ。属性上、「年上」担当の早川秋穂さんは発走除外としても、あとは似たり寄ったり。
 強いてあげるなら、「お嬢様」担当の藤沢かすみちゃんか「ロリ」担当のまみちゃんかな・・
 かすみちゃんはお嬢様で普段から和服で過ごす大和撫子、趣味は創作ダンスというそれなりな設定はあるのですが、普通に出会って、普通に仲良くなって、普通にHしてと、話に全く大きな起伏がないというある意味、斬新なお話でした。
 まみちゃんは記憶喪失・身元不詳の家出娘。ロリっ娘ですが実は同い年だったという事で規制対策も万全。こちらはちゃんと話にヤマタニはありました。

発見!日本海軍

 吾妻ゆりか。病弱ですぐに倒れる女の子。お約束な「病弱キャラ」だと信じてたのですが、あの病名には「やられた」の一言。なかなか画期的なキャラでしたが、攻略可能なメインキャラに対して「怒り」を覚えたのも久しぶりかも・・・
 日本海軍の<吾妻>は第1期拡張計画(六六艦隊計画)の第2号一等巡洋艦とし建造されたフランス製の装甲巡洋艦。
 装甲巡洋艦というのは、その名の通り、装甲を張った巡洋艦で、本来は「戦艦と遭遇すれば高速を活かして退避、防護巡洋艦や駆逐艦などと遭遇した場合は砲力を活かして撃退」を目的としていましたが、日本はアジア方面に配備される列強の旧式戦艦や装甲巡洋艦と互角以上に戦える事を目的に大型・強力な「ミニ戦艦」というべき艦を建造、日本海海戦では実際にロシア戦艦と正面から殴り合いになりましたが、1隻も失う事なくその任を全し、列強各国も強力な巡洋艦の利点を認め、後に巡洋戦艦に発展することになります。
 <吾妻>は外交上のバランスと技術習得を目的にフランスに発注された為、缶室と機関室を交互に配置するシフト配置、煙突の配置が不均等で先端が細い、船体が長く前後甲板が短い等のフランス式の設計が特徴の単艦なのですが、武装などはイギリス式(=日本式)となっており、イギリス製や国産の艦と画一的な運用が可能でした。この事は同時期に建造されたドイツ製の装甲巡洋艦<八雲>やアメリカ製の防護巡洋艦<千歳>にも言えることで、当時の日本の外交センスの良さを物語っています。
 明治33年にロアール(フランス)で竣工、日露戦争では第二艦隊に属し、ウラジオ艦隊追撃や日本海海戦で活躍、第一次世界大戦でも第一特務艦隊に属し、青島を脱出したドイツの防護巡洋艦<エムデン>を追ってインド洋まで遠征した功労艦でした。
 大正10年に海防艦に転籍、昭和期に入ると海防艦籍のまま舞鶴に繋留されて海軍機関学校の練習艦となり、昭和19年2月15日に老朽化の為、除籍・解体となりました。

装甲巡洋艦<吾妻>
 装甲巡洋艦<吾妻> 排水量9326トン、速力20ノット、主兵装20センチ連装砲2基