お嬢様特急と日本海軍



お嬢様特急とは..

 プレイステーション版の恋愛アドベンチャー。(SS版もあります)
 「出会い、ときめき、そして別れ。たくさんの想いを一杯積めこんだ超豪華特急ヴェガの旅をはじめよう」

 ストーリーは稚内から鹿児島(夢の崎という所らしい)まで各都市に1日づつ停車しながら日本を縦断する超豪華特急「ヴェガ」に乗った主人公がいろんな女の子と出会いと別れをくり返しながら旅をするという、「おきまり恋愛モノ」+「旅モノ」といった感じ。

 日常のくり返しではなく、列車の旅とする事で、適当な緊張感が生まれていい味が出てています。
 登場する女の子は18人。いっぺんに登場するのではなく、途中から乗車したり、下車したりして旅にメリハリを与えてくれます。
 どの娘も設定が面白く、表情も良く出ててイベントも楽しいのですが、登場するキャラが多すぎる事、イベントの発生にランダムの要素が強すぎる事、自分でEDが選べない複数同時攻略しにくいシステムなので、目的の娘が乗ってくる前や降りた後はかなりヒマになるなどの点が目に付きます。
 特に、目当ての娘の乗っていない区間は苦痛で、せめて、「次の駅まで寝る」コマンドは欲しかったところです。

 お気に入りは七尾つばさちゃん。久しぶりに最年少直撃がでました(笑)
 幼いころ引っ越した親友の妹で、兄の結婚式に出るためにヴェガに乗り主人公と再会します。
 明るく活発で主人公のことを「お兄ちゃん」とよぶ、いわゆる「妹系」の定番ロリキャラですが、単に能天気なだけでなく、「恋」って感情が判らないといって悩むなど(後で綺麗なオチがつく)、ちょと毛色が違う部分があり、そこに引かれました。

 余談ですが、<ヴェガ>のモデルはJR<トワイライト・エクスプレス>あたりだと思うのですが、なら次は郵船クルーズの<飛鳥>(豪華客船)なんてのも良いかも。
 殺人事件さえ起きなければ、客船の旅のほうが列車の旅より恋愛ゲームに向いてんじゃないでしょうかね。もっとも、実際のクルーズはカネとヒマの両方が大量に要るので、乗客の平均年齢68歳とかですが・・・・

発見!日本海軍


 鹿島静花さん。22歳。
 大金持の令嬢で、いわゆる高びーお嬢様。社内販売の娘と友人で、意地の張り合いから主人公の「攻略」を競おうとします。
 横柄な態度と高いプライドの影には・・・というお約束キャラではあります。

 日本海軍の「鹿島」は練習巡洋艦。
 昭和15年竣工の練習巡洋艦。士官候補生の練習航海用に建造された珍しい艦で戦力よりコストや威容を重視していました。
 ちなみに、現在、海上自衛隊が幹部候補生の練習航海に使用している練習護衛艦も<かしま>です。
 かつて、西国の警備に向かう東国武士が必ず参拝した事から「鹿島立ち」という言葉も生まれた鹿島神社は、国防の将来を担う候補生の練習艦の名称として、ぴったりの名というべきでしょう。


 北上緑ちゃん。17歳。
 かつての親友に会うために旅をする「関係ないわ」を連発する、最近流行(?)の心を閉ざした女の子。
 でも、その仮面の下には・・・・という、これまたお約束キャラです。
 なかなか関係が進展しない(ように見える)ので、比較的すぐに陥ちるキャラの多い本作では新鮮味があります。

 日本海軍の<北上>は八八艦隊計画の5500トン型の軽巡洋艦。
 かつては一世を風靡した名艦も開戦時には流石に旧式化していましたが、開戦直前に姉妹艦の<大井>と共に4連装魚雷発射管10基という、誤植のような秘密兵器「重雷装艦」に改造されました。
 2隻で敵艦隊を全滅せうる、攻撃力の塊のような艦ですが、甲板上に20トンの炸薬が酸素ボンベと一緒に並んいる訳で、防御力に関してはどこぞの難民船の方がはるかに安全かもしれません。
 その、強烈な個性ゆえにif戦記では大活躍したり、大爆沈したりする人気者ですが、本物は全く活躍の機会が与えられないまま、発射管を降ろして高速輸送艦になり、続いて回天母艦、工作艦となり大破状態で終戦を迎えました。


 千歳さとみちゃん。17歳。
 学業優秀、スポーツ万能、器量よしという、パーフェクトレディ。
 しかし、本人は特別扱いされる自分に疲れており、「知らない人しかいない場所」への逃避行で主人公と出会い、旅の「目的」をみつける・・・
 パーフェクトな女の子は多くのゲームでメインのヒロインとして登場するけど、本作では他のヒロインと同等の扱いで、しかも、パーフェクトな自分に悩むという、ちょっと珍しいキャラです。

 日本海軍の<千歳>は、このコーナーで何度も登場した水上機母艦。
 同じ事を何回も書いてもしかたないので、名前の由来について・・・北海道には千歳市があるし、千歳川もありますが、艦の<千歳>の由来は永遠を表わす成語の方です。もっとも、北海道の地名の方も、アイヌの人達が「シコッ」と呼んでいた地域で、「死骨」になって縁起が悪いという事で、音が似ていて縁起の良い「千歳」に改めた訳だから、オリジナルの意味は同じではあります。


 加古川秋子ちゃん。17歳。
 主人公を「運命の人」と信じて付きまとう恐怖の思い込み女。 思い込んで内に篭るタイプではなく、積極攻勢に出るタイプのキャラですが、積極的すぎて相手に恐怖感を与えるタイプです。

 日本海軍のは<加古>。希代の天才造船技師・平賀博士の手による画期的な新型巡洋艦でした。
 一等巡洋艦ながら、川名ですが最上型や利根型と異なり、条約逃れの為ではなく、条約により排水量ではなく備砲で分類するようになった事と、予算の問題という政治的な理由で生まれました。
 <古鷹>より半年先に起工しながら、建造中にクレーンが倒れてくるという事故にあい、古鷹型の2番艦となりました。
 太平洋戦争では姉妹艦3隻と共に第六戦隊を編成し、グァム、ウェークなどの攻略を支援、さらに第一次ソロモン海戦で歴史的勝利を納めましたが、その帰路に米潜の雷撃を受け、あっけない最期を遂げました。


北上
 重雷装艦<北上>。5つ並んだ九ニ式発射管がチャームポイント。