Rainy Blue
 Rainy Blue

  RANソフトウェア/ケイアンドエムセイルネットワーク 定価:8800円  発売:2000年2月

 18禁アドベンチャーゲーム。
 恋人を交通事故で失った主人公が女の子と出会い癒されて立ち直るという、典型的な「死にゲー」

 ゲームは「放課後の過ごし方」の選択を基本とした選択肢型AVGです。多少、理不尽な選択やトラップがありますが、まあオーソドックスなもの。私としては、この手の「移動先」選択は無意味だから止めて欲しいと思うのですけどね・・

 ゲーム期間は約1ヶ月。恋人の死でヘタレ状態になっている主人公が立ち直るストーリーですが、最近の感動系が大流行で、必然的にストーリーに「死」が密接に関係している「死にゲー」が増えており、「主人公の彼女が交通事故で死亡」というショッキングな導入も、すでに「Memories Off」(PS一般)や「Alive」(PC18禁)で出ているので特に目新しさは感じられず、また、「Memories Off」がクドイぐらい作中に彼女との想い出を挿入し、「Alive」はながーいプロローグを用意するなど、とにかく「闇を際立たせる光」の演出を行なっているのですが、本作はプロローグが短い上に本編に入ってからも回想シーンがほとんどなく、また主人公の葛藤もごく序盤だけと、かなり記号的に「彼女の死」を処理しています。まあ、「Memories Off」や「Alive」では感情移入して遊ぶような人は主人公のヘタレ具合に不快を感じる事があったそうなので、そういうのを考慮したのかもしれませんが、インパクトという点ではちょっと?です。
 話自体は描画が淡白でボリューム不足気味ですが、綺麗で良い話です。この手の話に「奇跡」を下手に使うと「夢オチ」並に強烈な自己否定になってしまう事がありますが、本作では前向きに繋がるようにうまく使っているのが好印象でした。
 また、本作はシナリオによっては、OPの他にEDでも人死にが出ます。このタイプは、奇跡でもおこして話をキャンセルしない限り、なかなか綺麗には決まらないのですが、本作は主人公に「絵」という特殊能力を持たせた為に極めて綺麗な話になっています。

 ボイスは主人公も含めたフルボイス。特に巧い訳ではありませんが、破滅的に下手な人もまざってないので、特に問題ありません。ただ、話し方がゲームやアニメというより、舞台での話し方に聞こえたのは私の気のせいでしょうか?
 CGは綺麗。2人体制で原画を描いているらしく、ちょっとタッチが違うような絵が混ざりますが、違和感というほどではありません。
 音楽はオーソドックスに作られていて良いと思うのですが、オーソドックスすぎて演出過多に陥って多少、作中では音が「大げさ」に聞こえてしまうのが難点といえば難点です。
 システムは既読メッセージスキップが変な所で止まるなど気になる点が無い訳ではありませんが、特に問題はないようです。メッセージウインドウのマスコット人間の表情が変化したり、立ちCGのごく一部がアニメーションしたりするなど、ところどころに「小技」が使われていて良い具合になっています。

 トータルの私的評価は中の上から上の下ぐらい。良く出来た普通の死にゲーってトコでしょうか。基本的に淡白な上に、同じ設定の先発作品があった事から死にゲーとしてのインパクトは弱い目なのですが、重い目の純愛物としては十分に及第点であると思われます。

 お気に入りは大宮ましろちゃん。ああ、またロリだ・・もうだめかも・・
 主人公の恋人が身代わりとなって助けた少女。明るくて元気の良い性格だけど、実は先天性の心臓病で・・設定でキャラが「可哀想」って感じたのは久しぶりです。
 この作品は主人公が美大志望だとか、大学受験って言っているから「高3」って年齢が特定できちゃんですよね・・そして、主人公の従妹が「2歳年下」。で、ましろちゃんはさらに「年下」という事だから・・最大で中学生(下手すれば小学生)。18歳以下を戦闘員Hの対象にする事はジュネーブ条約業界自主規制で禁止されてるんでは・・・
 陰性のロリ(白痴系でないロリ)で病んでて明るく元気な態度の裏には・・という、卑怯きわまりない、私にとっては完全にガード不能のキャラでした。

 次点は烏丸碧ちゃん。死んだ恋人にそっくり、とこれまた御約束なキャラ。パッケージのアオリにも「今度こそ・・大丈夫って・・思いたかった・・」なんて意味深な台詞が描いてあるから、安直系の奇跡かとおもいましたが、そういうのじゃありませんでした。
 無口で物静か。定番の「心に傷を負った奴」担当。最近の純愛系の同級生キャラとしては珍しく初物でないのが最大の特徴(爆)

 どうでもいい話なんですが、本作のキャラの名前って京都の地名+色名なんですが、こーいうのって、うまく決まればかっこいいのですが、たいていは不自然で、浮いちゃうんですけどねぇ・・

発見!日本海軍

 桂桃恵。現国の教師で主人公の担任。一言で言えば「やなセンコ」あるいは「学術解説業者」、すくなくとも「先生」「教師」などとといういいもんじゃない。実際に、この手の「業者」っているからタチが悪いんだよな・・「教師」が尊敬されるのは生徒よか長いこと生きているからでも、物を知っているからではないんだよな・・と現代教育を批判しても始まらないので閑話休題。
 日本海軍は<桂>。大正4年竣工の樺型駆逐艦。第1次大戦時には第二特務艦隊に属し地中海でドイツ軍のUボートと死闘を繰り広げた武勲艦です。昭和7年に除籍。
 2代目も昭和19年度計画の丁型駆逐艦として起工、戦局の悪化に伴い姉妹艦が次々と計画/工事中止となっていく中、<八重櫻>と共に最後の日本駆逐艦として工事が続行され、昭和20年6月23日に進水にこぎつけたのですが、進水当日についに建造中止が決定、日本海軍が最後に進水させた駆逐艦となりました。