センチメンタルグラフティ2
 センチメンタルグラフティ2

  NECインターチャネル 定価:5800円  発売:2000年7月

 NECインターチャネルのドリームキャスト版恋愛SLG。

 ギャルゲーとしては空前の発売前人気と発売後の人気失墜で一世を風靡したサターン版恋愛SLG「センチメンタルグラフティ」の続編。
 前作は幼い頃に知り合った女の子達を12股して全国12都市を飛びまわるという凄い話で、ヒロインに若干の「地域色」があったり、「観光ゲーム」みたいな所がありましたが、今回の舞台は一つの街でヒロイン達の地域色も薄れているように思えます。

 前作主人公の葬式というショッキングなオープニングでスタート。センチに限らず、プレストーリーやサイドストーリーを充実させると女の子同士の「繋がり」が強くなりすぎてしまいキャラ総入れ替え以外に続編を作るのが難しくなるので、前作主人公を殺してしまうのもしゃあないんでしょうかねぇ・・・
 今回の主人公は写真部(光画部)部員。学祭で使用する写真のモデルを探してヒロイン達に近づき、前作主人公を忘れられないヒロイン達の心を癒してくっつくという、「逆癒し系」のストーリー。
 前作が1年という長い期間の割に「ラブラブ一直線」みたいな話だったのに対し、今回は3ヶ月で「出会う」→「仲良くなる」→「やっぱり忘れられない」→「乗り越える」→「くっつく」というヤマタニありの展開になっています。が・・基本の展開が12人とも同じなのでなんとなく飽きてくる所はあります。

 CGはむっちゃ綺麗。アニメシーンはフォーカスの甘さが目立ちますが、立ちCGやイベントCGは綺麗の一言、流石はドリームキャストって感じです。大画面(90インチ)に投影しても全く斜めの線が気にならないってのは本当に凄いです。

 システムは・・・「毒」。どーいうセンスをすれば、これを市販できるのか理解に苦しみます。
 イベントは普通に女の子と出会うだけの「通常イベント」とストーリーに関係ある「重要イベント」「必須イベント」などに分けられているのですが、「通常イベント」が曲者。
 こいつはフラグをほとんどみていないので、喧嘩中だろうが落ちこんでいようが、ほとんど内容は同じ。まあ、それだけなら泡沫ソフトハウスの18禁ギャルゲーなんかでも良く見られる現象ですが、センチ2の場合、「通常イベント」を起こしてしまうと、その日に発生する筈の「必須イベント」が起きなくなり、場合によってはそのまま攻略失敗になるという頭痛のするような仕組になっていて興醒めどころの騒ぎではありません。
 一本道ストーリーな筈なのにフラグ管理をミスってて前後の関係がおかしくなる事はあるし、バッドEDも「ストーリーを降りた」点が悪いと完全に話が繋がらないし、システムは論外です。
 このシステムをデザインした人と、これで発売を決めた人、あんたら二度とゲーム製作に携わらない方がいいです。適性の無い分野の仕事をすると、本人はもちろん廻りの人も不幸にしますよ・・

 私的評価は「論外、ただしシステムを別にすると中の中」って感じでしょうかね。とにかくシステムが全てをぶち壊しにしてしまっている1作でした。

 お気に入りは・・前作同様に青森、高松、京都かなぁ・・センチほどキャラが「ひとりだち」してしまうと、ゲーム1本ぐらいではキャラの評価は動かないような気もします。

センチ2と日本イタリア海軍

   長崎代表、遠藤晶。たかびーで気が強くて素直になれない、だけで可愛いところがあるというステレオタイプなキャラ。前作スタート時には万年二位でだった彼女も今ではすっかり有名人、今をときめく天才バイオリニストになっていました。
 一見、普通の生活を送っており、再起不能になっている真奈美とかに比べるとダメージが軽そうだけど、実は・・というのもお約束。

 艦の方は日本海軍ではなく、同盟国のイタリア海軍でして、航空母艦<アキラ>。綴りは「Aquila」で、「アクィラ」と表記される事もありますが「アキラ」と表記する方が一般的のようです。
 イタリア海軍は地形的・政治的な理由や空軍との兼ね合い等の面から地上機の行動範囲内での作戦しか考慮しておらず、軍縮条約で6万トンの枠があったにもかかわらず空母を保有していませんでした。しかし、実戦では空軍との協同が巧くいかなかった為に急遽空母を建造する事となり、1941年、イタリア・ライン客船所属のノーザンアトランティックライナー<ローマ>の空母改造に着手しました。
 船体だけを利用して残りは丸ごと交換のような大改造計画で基準排水量23,350トン、速力30ノット。兵装は13.5センチ単装砲8基、6.5センチ単装高角砲12基、20ミリ機銃82丁で搭載機は36機となる予定でした。同じく商船を改造した基準排水量24,140トンの<飛鷹>の速力25.5ノット、12.7センチ連装砲6基と25ミリ機銃24丁で搭載機48機と比べると、日伊両国の空母の、というか海軍艦艇に対する考え方の差のようなものがみられて興味深いものがあります。
 公試直前の1943年9月にイタリア降伏に伴いドイツに接収されますが、その後も完成に至らず1945年4月に連合軍により破壊されました。

 しかしながら、WW2期のイタリア海軍というとカタログスペックは高いが実際にはそれだけの能力を発揮できず、おまけに復元性不良で転覆事故を起こす難儀な艦艇群、戦意不足と海空の不一致で損害ばかり増やしたカラブリア沖海戦やマタパン岬沖海戦、軍事史に刻み込まれたタラント空襲や戦艦<ローマ>撃沈とネガティブなイメージが強く、「レパントの海戦(1571年、スペインとヴェネチア・教皇領を中心とするイタリア諸国連合艦隊がオスマントルコ艦隊を撃破)以来、350年間勝ち星無し」などと三流海軍の代表みたいに言われますが、英国すら注目した先進の気質に富んだ技術陣、沈没艦艇の将官死傷率100%、艦長死傷率75%という日英海軍なみの責任感あふれる現場指揮官、人間魚雷や人間機雷、体当たり自爆艇といった決死兵器(日本の類似品と異なり自殺兵器ではない)で次々と戦果を挙げる勇敢で機転に富んだ特殊部隊、ドイツUボートですら20隻中5隻の損害を出しているジブラルタル海峡突破を1隻も損害を出すことなく48回成功させた高い練度と一流海軍に必要な要素を取り揃えた不思議な海軍でした。


     イタリア海軍航空母艦 <アキラ>