サクラ大戦と日本海軍


サクラ大戦とは・・

 セガのサターン版SLG/ADV。
 タクティカルSLGと恋愛ADVをミックスした内容で、平素の行動(ADV)で部下の女の子の信頼(愛情)を得ると戦闘(SLG)が有利になるというもの。

 舞台となる「帝国華撃団」は剣術娘に財閥の娘、フランスの超能力小娘、ロシア革命の闘士(日系)、眼鏡のチャイナ娘、沖縄の格闘娘と何でもありあり。
 ゲームデザインが広井王子とレッドカンパニー、キャラクターデザインが藤島康介、シナリオがあかほりさとる、主役の声優に横山智佐と、好き嫌いや批判はあるものの、少なくとも売れ線を揃えた「物量で押す」タイプのソフト。

 発売が半年近く遅れただけあって、絵は奇麗だし、サターンのソフトとしてはアニメーションも充分に奇麗。ストーリーも、あかほりシナリオで顕著なご都合主義とネタの使いまわしが目立つが、これは万人が嫌うものではないので決してマイナスという訳でも無いし、演出も悪くなく、名作と呼んでも差し支えの無い水準にある。

 ただ、SLGパートがかなりヌルイので、そっち方面は期待してはいけない。
 また、6人のヒロインと「仲良く」なるエンディングがあり、マルチストーリーとまではいかないものの、各キャラのイベントも多く用意してあるのだが、1回のプレイ時間が長い目な上にグランドストーリーが変化せず、ハマらないと何回も遊ぶ気にならないのは多少に中途半端で残念な所。


発見!日本海軍

 主人公の大神一郎は帝国海軍少尉。そお、本作は怪しげなこじつけではなく、本当に海軍士官が主人公のギャルゲーなのだ!
 まあ、このソフトは戦前に書かれた「原作」が存在していて、当時なら海軍士官といえばエリート中のエリート、憧れの花形職業だから不思議でも何でもないんだが・・

 ただし、当然ながらリアル系の話ではないので、軍事系の考証も無茶苦茶。舞台設定が架空の世界(太正)だから、それで良いといえば、そうなのだけど、やっぱり無茶な設定は興を削がれてしまうものがある。

「帝国華撃団は政府直属の秘密部隊だ」
 外国軍はともかく、皇軍は政府と同等の組織なので政府直属だと左遷ですが・・
 そもそも、日本が戦争に突入した直接の原因はコレですね。(統帥権の独立を盾に一部陸軍将校が暴走して大陸を泥沼化させてしまった。)

「主人公は海軍少尉、司令官は米田陸軍中将」
 アメリカと違い陸海軍の間に指揮系統はありません・・日本が戦争に負けた理由の一つです。

「主人公は海軍少尉」
 有事を除いて特務少尉(叩き上げの少尉)ならともかく、海兵出身の少尉が恒久的な戦闘指揮任務に付くことは希です。
 まだ20歳かそこらですからねぇ・・まだ修行の時期で、地上の学校に通ったり、甲板士官や分隊士、艦長付き、艇指揮、臨時の陸戦隊の指揮など海軍士官としての基本を学ぶ時期で、責任ある任務に付くのは中尉以降からです。

「士官学校首席」
 海軍は士官学校じゃなく、海軍兵学校だっ。
 さらに海兵首席がどーいう事なのか、デザイナーは判ってなく、気軽なキモチで「首席」にしたのだと思うが・・エリート中のエリート。将来を約束された現在では比較のしようもないぐらいのスーパーエリートなのだ。(自衛隊の一選抜などは近いかも知れんが・・)
 平時の軍は能力を発揮する機会はそう多くないから、席次の通りに昇進していく。つまり、海兵首席卒業者は、大きな失敗をやらかさない限り、同期の中で一番最初に少佐になり少将になる事は半分決定事項で、運が良ければ聯合艦隊司令長官や海軍大臣だって充分、実現性を帯びた夢なのだ・・(特にGF長官はわりと頻繁に交代するので、席次トップのまま中将になれてたら競争率はヒトケタ程度だ)
 そんな将来を約束された金の卵を、訳の判らん任務に付ける筈がなかろう・・

「元革命の闘士マリア・タチバナ」
 日露戦争の頃は日本帝国は積極的にロシア赤色勢力を支援していたし、ソビエト連邦を国家として承認するのも積極的だったのですが、すぐに敵対的緊張関係になってます。
 シベリア出兵のような直接的な軍事行動もありましたし・・秘密部隊に敵性国家で軍歴のある人間を入れちゃっていいんでしょうか?