すいすいSweet
 すいすいSweet

  Tacticse 定価:8800円  発売:2000年10月

 KEY分離以来、迷走中のように感じられるTacticsの18禁ノベル系AVG。

 ひとことで言って普通の話。デビュー作の「同棲」を除くと宗教だの永遠の世界だ記憶喪失の女の子だと非日常ベースの話ばっかりだったに対し、本作は日常ベース。
 設定的には主人公の両親は行方不明中、両親死亡で引き取られた義妹と2人きりで生活とか、世間一般では普通とはいえない部分もありますが、この類のゲームとしては普通の範囲内でしょう。

 ストーリーも日常ベース。親戚が経営する甘味処でバイトしたり、幼なじみにお弁当作ってもらったり(味オンチですが)、義妹やその親友の後輩の女の子と遊びに行ったりと普通に普通を重ねて普通にエンディングに向かいます。
 主人公や一部のヒロインが少々理屈っぽいのと会話のテンポが悪い部分があるので少々テキストが鬱陶しく感じる部分がありますが、読めないほど酷くはないです。ただ、マニュアルには「未読スキップ」があるようにかかれますが、実際は読んでなくてもスキップする強制スキップなのは減点対象。ただ、既読文章を戻って読める機能はあるので、だいぶん救われています。

 本作には「シーンセレクト」機能があり、一度みたイベントに戻ってプレイする事が出来ます。これは回想ではなく再開で、その後は通常のプレイが継続されるという、ちょっと珍しいものです。
 各種フラグは持ち越されるので、2週目以降のプレイではかなり便利なんですが、これのせいか、ルートによってはイベント間の連携が不自然な部分や矛盾している台詞があったりするのは残念な所です。

 CGは今風。一部崩れている絵もありますが、変な癖も無いし、まあクォリティは及第、音楽はBGMは単調ですが変な自己主張が無いので、あっさり目の本作にはどちらも合っていると思います。

 私的な評価は飛び道具を使わずオーソドックスに仕上がった「凡作+」。ただし、2週目以降に発生するONEテイストな追加イベント&EDは蛇足の標本みたいなもんで、まったくの不用だと思います。

 お気に入りは・・城之崎遊美。いわゆる「遊んでいる」キャラでナイスバディです。いつもの私のお気に入りの傾向からすると「何か変な物でも食べたのか?」「宇宙から来た何かと入れ替わっているのか?」などといわれてしまいそうですが・・・「最初の男よりも最後の男になりたい」ってのもたまにはいいですよね、とか言って見る。
 次点は宮下真帆。主人公の義妹の親友で引っ込み思案で自分に自信が持てないタイプ。当然、胸は薄い・・・こちらは妥当な線でしょう(笑)


すいすいSweetと日本海軍

 まず主人公が常盤達弘、攻略可能ヒロインも義妹・常盤真琴と従姉・常盤京香と5人中2人が身内です。

 日本海軍は装甲巡洋艦<常盤>。排水量9885トン、速力21ノット、20センチ砲4門・15センチ砲14門を装備した主力艦で、英アームストロング社がストックボートとして建造していたものを日露関係逼迫で海軍拡充を急ぐ日本海軍が目をつけて購入、日本海軍仕様に設計変更して明治32年5月18日に竣工しました。
 日露戦争では第二艦隊の主力としてウルサン沖海戦や日本海海戦で縦横に活躍、続く第一次世界大戦でも青島からハワイまで広大な海域を駆け巡り、大正11年からは敷設艦となって主に大陸方面で活躍しますが、昭和2年に搭載機雷の誘爆事故を起こし予備艦となりました。
 昭和15年、事態逼迫に伴い戦列に復帰、主に南洋方面で機雷敷設に従事、昭和19年からは本土決戦の準備として内地で機雷敷設に従事しました。しかし、昭和20年8月9日、大湊沖で米艦載機の空襲を受けて大破。満身創痍となりながらも齢46年を数える老将は最後の力を振り絞り自力で海岸に辿りつき任意座礁に成功します。
 船体はそのまま放置され、11月に他の残存艦艇と共に除籍、解体処分となりました。

 義妹の真琴の旧姓が榊。まあ、実際は養子縁組されてなくて、榊のままだった訳ですが・・最初は「妹」だったのに、プレイ中に実は「義」が付いたと知って結ばれるのは「大人の事情」も手伝って非常にお約束な展開ですが、実は「義」でもなかった・・というのはちょっと珍しいかもね。

 日本海軍は二等駆逐艦<榊>。大正4年3月26日竣工の樺型駆逐艦で排水量595トン、速力30ノット、12センチ単装砲1基、45センチ魚雷発射管4基。(第一次)世界大戦勃発により急遽建造された戦時量産型駆逐艦で、日本海軍としては珍しい事に基本性能、戦闘力、生産性ともに過不足無い実用的な設計の艦で、海外からも引き合いがきた程でした。(フランス向けに12隻建造)
 <榊>は他の樺型や桃型と共に地中海遠征に参加、地中海でドイツ潜水艦と死闘を繰り広げますが、大正6年6月11日、マルタ沖でドイツUボートの雷撃を受け艦首切断の大損害を被り遠征全期間を通じた戦死者の75%にあたる59名の戦死者を出しました。
 しかし、設計が優秀だったのか、乗員の訓練が行き届いていたのか沈没は免れ修理後、戦線に復帰、大戦を生き延びて無事に帰国を果たします。戦後、予備艦となり昭和7年に除籍されました。

装甲巡洋艦・常盤
 装甲巡洋艦<常盤>