ゆきうさぎ
 ゆきうさぎ

  LiLiM 定価:8800円  発売:2001年6月

   LiLiMの18禁アドベンチャーゲーム。

 主人公は世界一の金持ちの御曹司。教育の方針だか何だかで北海道の山奥に転校する事となり、そこで繰り広げられるドタバタハートフルコメディ。

 CGにテキストがオーバーラップ表示されるノベル形式で、1日数回、移動先を選ぶ移動先選択方式。もうちょっと工夫のしようがないのかね、って常々思っている方式ですが、出現する女の子が表示されるタイプなのでまあ許容範囲。
 セーブ・ロードは随時。24箇所あるのはいいのですが、メニューから選ぶと3段カスケードなのはどうにかならんかったのでしょうか。あと、セーブデータには実日付だけでなく、ゲーム中の日付も入れてくれる方がありがたいです。
 メッセージスキップは既読スキップで実用充分に高速なので問題なし。テキスト読み返しは読み返せるレンジが短かく、1シーンも入らない場合があるのはちょっと減点です。

 CGは癖のない普通のアニメ絵で枚数は割とあります。Hシーンはアニメーションしますが、これも影の段数が落ちたりしますが、結構綺麗でいい感じです。
 CVはF&Cでおなじみロックンバナナの製作で、声優は18禁ゲームソフトで場数を踏んでいる「いつもの人達」が多いので、これは大変GOOD。ただ、全員が1人2役以上、ほとんどは3役やっているあたりにワビとサビの世界を垣間見る事ができます。

 シナリオ的にはキャラクターの設定でダッシュするタイプ。主人公は世界一の大金持ちの御曹司で、ゆきんこ、暴力女、天使、ウェイトレス、日本一のお嬢様、貧乏人、悪魔、不幸、ロボ娘、無感動系、歌姫、メリケン忍者、謎の少女、雪女etcと非常に多彩なキャラ達に加え「LOVE FOREVER」や「光を…」のキャラも登場します。

 が・・これが完全に逆効果。メインヒロインルートの準クライマックスに何の脈絡も無く出てきた「LOVE FOREVER」のキャラが敵を倒したりするなど、脇役が前に出過ぎて折角のクライマックスを興ざめさせてしまいます。
 製作者や「LOVE FOREVER」に特に思い入れのある人は楽しいかもしれませんが、ほとんど覚えてなかったり、あるいは未プレイだったりすると何がおきているかも判らないと思います。
 これが「LOVE FOREVER ファンディスク」とか「LOVE FOREVER 2」とかいうのだったら別に構いませんが、独立した作品としては大失格です。
 あと、シナリオが消化不良を起こしていて、「ネタ」の繋ぎ目が見えてしまい、かなり構成が不自然な事になっていたり、プロローグやキャラの設定、各エピソードなどでは「なんでもやろう」と詰めこみすぎて結局、何にもできてなかったりと散々です。

 個々のテキストから察するに構成力や文章力が無いという訳ではなさそうなのに、なんでこんな事になっているのが、不思議で残念な仕上がりです。
 よってシナリオ重視な私的評価としては・・・下の上、「駄作」。次回にチャレンジ。もっとも、次は「LOVE FOREVER 2」だそうで、「LOVE FOREVER」を冠していない本作であれだけ物語に干渉があったという事は、2だとライターと非常に思い入れのある人達だけの世界が構築されるのは目に見えているので私は買いません。

 お気に入りは・・・神代ゆーなかなぁ・・身長138cm、スリーサイズは72・48・74。ゆきんこ。
 言動も幼いし、いくら何でも何なので、「きっと人外の生き物で、突然大人になったりするか、エピローグHシーンだろう・・」と思っていたら、この状態のままHシーン突入・・・18歳以上ってテキストに書いておけば何でもOKなんですかね・・流石は言霊の邦(笑)

ゆきうさぎと日本海軍

 薩摩かんな。焼き芋の屋台の女の子。焼き芋だから薩摩なんでしょうかね・・・私的には北海道はサツマイモよりジャガイモのイメージが強いですが・・
 家が貧乏、父親は病気というお約束キャラではあります。

 日本海軍のは<薩摩>。日露戦争の臨時軍事費(明治37年度)により計画された戦艦。
 維新以来、外国からの技術習得に努めていた日本海軍が満を待じて自力建造を行った最初の戦艦ですが、いきなり「2万トン、18ノット、30センチ砲4門、25センチ砲12門、水線装甲229ミリ」という、世界最大・最強を狙うという壮挙に出ました。
 当時の海軍は「陸の長州、海の薩摩」といわれ、鹿児島出身者がイニシアチブを握っており、<薩摩>は、いわば「とっておきの名前」。日本海軍の期待の高さがわかろうってもんです。
 が、日本海軍の期待は微塵に打ち砕かれます。失礼な日本在留の外国人達が賭けをしていたように建造に失敗した、という訳ではありません。
 戦争が終わり、建造スピードが落ちている間にイギリス海軍が近代戦艦の嚆矢<ドレッドノート>(1万8千トン、21ノット、30センチ砲10門、水線装甲279ミリ)を完成させてしまったのです。
 <ドレッドノート>の出現により、全ての既存の戦艦は「前ド級(準ド級)戦艦」としてひとくくりの旧式艦とされてしまい、世界最強・最大の戦艦として産まれる筈の<薩摩>は未完成のうちに旧式艦となる不幸にみまわれたのでした。
 その後、改良を重ね、なんとか初期のド級戦艦並の戦力を備えるに至りますが、ワシントン軍縮条約により破棄される事となり、大正13年9月に射撃訓練の標的としてその生涯を閉じました。


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