零戦記
ソフトハウス | システムソフト
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対応機種 | PC-9801VX以降(MS-DOS)
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テーマ | レシプロ機による空中戦
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規模 | 1機1プレイヤー(友軍数機)
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展開 | 単独/シナリオ連続式キャンペーン
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進行 | リアルタイム
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「大戦略」などで知られるシステムソフトが4年ほど前に出した空戦SLG。
フライトシミュレータとしては並。現在では当然ながら見劣りする。
ただし、このゲームの魅力はリアルな空戦ではなく、マニア向けに作られた「娯楽作品」という点にある。
本作は完全にリアルなフライトシミュレータというよりは、事実を取捨選択してゲーム版「大空のサムライ」をめざしたような傾向があり、戦記はもちろん、零戦漫画のイメージすら強く入っており、ニヤリとさせられる局面も多く、マニュアルにも「このゲームの正式タイトルは『ゼロセンキ』です。しかし、『レイセンキ』でなければ嫌だというマニアのために作られたゲームですから、お好みな方でお読み頂ければ幸いです」などと、愉快な事が書いてある。
マニュアルでは特に断ってないが、ダイブ&ズームより、くるくる旋った方が有利に展開できるのは、あきらかに「零戦ひいき」が入っており、零戦21型でもP51Dを相手に互角以上で戦う事ができるのも零戦マニアにはうれしい配慮といえよう。
ただし、敵が淡白すぎて、ほとんど追尾してこないので、システム上は零戦の必殺機動「左捻り込み」が可能でも、ゲーム中には使う機会が無いのは残念至極である。
登場する機体は日本海軍から「零式戦21型」「零式戦51型」「紫電J型(紫電改)」日本陸軍から「一式戦(隼)」「四式戦(疾風)」、米海軍から「F4F」「F6F」「F8F」、米陸軍から「P38」「P51D」、英空軍から「スピットファイア1」「スピットファイア5」「スピットファイア14」、独空軍から「Bf109E」「Bf109G」「Fw190A」。
各機種の違いは速度や旋回性能など機体特性の他、武装(機銃サイズおよび携行弾数)や自動消火装置の有無など。機種の差を出すためか「癖」が強めに表現されている傾向はある。
なお、紫電改にはちゃんと自動空戦フラップが搭載されており、旋回に入るとちゃんとフラップが動くのは素晴らしい。
不満があるとすればキャンペーンモード。マニュアルにも単発シナリオは「大空のサムライ」等戦記物、キャンペーンは「零戦漫画」のイメージと断ってあるので、山本長官直属の秘密部隊というのは許せる。
主人公の属する母艦が軽空母(祥鳳)なのはちょっと悲しいが、理には適っているので(最初の喪失空母であるが、実は沈んでなかったという奴)許せる。
スケールの割に比較的地味な任務(側面支援とか、ドイツとの連絡とか)も良い。
問題はラスト。もう時効なのでバラしちゃうが、「3発目」の原爆搭載機をたたき落して終戦となり、「もはや戦う事はない〜」という、あまりにあっけないオチがつく。
どうせ負けオチなら、最後のシナリオは「原爆搭載艦に体当たり」ぐらいやって奇麗に決めるか、フィリピンに向かう連絡機を反乱を起こした友軍から守る(皇軍相撃つ)ぐらいの事はやってほしかったな〜
これらの不満は瑣末なものであり、それらを差し引いても本作は今だパソコン版レシプロ空戦SLGの頂点にあるといえよう。
[凡例]