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 シュウマイ買いに神戸まで 
11/23
大阪→浜寺→関空→神戸→大阪

 シュウマイ購入の大命降る。と、大げさに言ったところで所詮はシュウマイ、梅田の地下街の551の蓬莱で買ってくれば往復1時間もかからない。しかし、それでは「負け」である。
 ・・・やはり中華といえば神戸元町。地下鉄とJRを乗り継げば往復2時間ぐらい。しかし、これでも「負け」ではないといえ「勝ち」とはいえないだろう・・では、勝つためには?


阪堺電気軌道501型車両  
阪堺電気軌道501型車両。
昭和30年代の建造で「最も新しい旧式車両」
浜寺公園  
日本の名松100選にも選ばれている浜寺公園の松原。
浜寺温泉  
浜寺温泉・羽衣天女の湯。名前の由来は天女伝説
クリスタルウィング(停泊)  
K−CATに停泊中のクリスタルウィング
クリスタルウイング(翼走)  
K−CATを出港、翼走に移りつつあるクリスタルウィング

 超遠回りな神戸行き出発。
 まずは地下鉄堺筋線「恵美須町」下車。北口から出れば電気屋街「でんでんタウン」ですが、今回は南口、通天閣の横から出ると阪堺電気軌道「恵美須町」電停前。
 駅舎は時代を感じさせる造りですしホームも短いのですが、乗車ホームと降車ホームが別になっている阪急梅田駅のような形状(2線だけですが)を持つ立派な駅です。でも、切符売り場も改札もありません。それもその筈、阪堺線は恵美須町と浜寺、天王寺と住吉公園を結ぶ大阪に残る最後の路面電車であり、運賃は降りる時に運転手に払うのです。
 もっとも、路面電車とはいっても、かなりの区間は専用軌道ですし路面区間でも堺市の部分は柵で軌道と道路が完全に分離されているので本当に道路の上を走っているのはごく一部だけではあります。
 運賃は大阪市内、堺市内だけなら200円、両市にまたがって乗車する場合は290円という、実にアバウトな料金設定な上に整理券などの仕組みもない、完全自己申告制。本当に260万都市と80万都市を連絡する鉄道なんですかね・・・

 小一時間かけて「浜寺駅前」電停到着。南海本線・浜寺公園駅は今では準急しか止まらない小駅ですが(南海本線の準急は大阪市と堺市の境界部にある5駅しか通過しない)、昔は海水浴客などでにぎわったそうで、「駅前」駅の存在や恐ろしく立派な駅舎(文化財登録されているらしい)がかつての栄華を偲ばせます。

 駅から道路を隔てて浜寺公園。天女伝説(天女の羽衣を隠して結婚するって奴。ちなみに山形、千葉、静岡、滋賀、京都、鳥取、熊本、沖縄など日本中にある)も伝わっている名勝地として古くから栄えた所ですが、最近は海岸は埋め立てられて浜寺水路となり、松原の向こうの埋立地では大きな煙突が白い煙をモクモクと吐き出しており、ちょっと白砂青松って雰囲気ではなくなっています。
 もっとも松原は健在ですし、春には桜も咲き、プールやテニスコート、交通公園など各種施設も充実しているので都市公園としては一流だと思います。

 浜寺公園を南に進んでいくと「浜寺天然温泉・羽衣天女の湯」到着。大阪では珍しい療養泉(通常の単純泉より濃い)との事。
 日帰り入浴のみで1300円。お風呂は室内に大きな浴槽とサウナ、ジャグジー。屋外はテント式の半屋根で岩風呂とトルネードバス(ジェットバスの水流で歩行浴を行うものの模様)がありました。
 露天風呂に漬かっていると「あー、もうシュウマイやジェットフォイルなんかどうでも良くなってきた・・作戦中止して夕方までここに居ようか」等という誘惑に駆られましたが、不幸というか幸いというのか、私の心臓は初期不良品で長湯するとしんどくなってくる事があるので温泉を後に作戦再開。

 浜寺温泉まで来ると浜寺公園に戻るより、次の羽衣まで進んだ方が早いようなので南海羽衣駅へ、そこから関空急行乗車、りんくうタウンの妙に立派な駅を抜けて関西空港に向かいます。
 関空からは「ボーイング929」でいよいよ目的地・神戸へ向かいます。飛行場でボーイングなどというと飛行機にしか思えませんが、実は船。ボーイング929は古い型番で、今は川崎重工に移管されて「川崎ジェットフォイル929−137」と改称され、一般には「ジェットフォイル艇」と呼ばれています。
 ジェットフォイル艇はいわゆる次世代高速艇のひとつで平たく言えばガスタービンを採用したハイドロフォイル(水中翼船)の一種で水中翼を使用して海上を80km/hで「飛翔」する「海の飛行機」であり、開発したのが航空機メーカーだったというのうなづけます。
 スピードは出ますが車両航送はできませんし運賃も高くなる為、主に佐渡汽船の直江津−小木航路や九州郵船の博多−壱岐−対馬や長崎−五島といった本州と主要な島を連絡する航路でフェリーと併用されるケースが多いのですがJR九州の<ビートル>のように国際航路(福岡−釜山)に就役しているものもあります。
 関空=神戸の航路を運航するのはK−JETという愛称を使っている(株)海上アクセス。就役船は<クリスタル・ウィング>と<エメラルド・ウィング>の2隻で関空のポートターミナルから神戸ポートアイランド南端のK−CATまでの約30kmの航路を25分で接続しています。

 関空駅から連絡バスでポートターミナルへ。どうでも良い話ですが、この港、英語表記は「Ferry Terminal」になっているのですが、何故なのでしょう?
 ポートターミナルは閑古鳥状態。「あー、やっぱり苦戦してるんだよな・・出来た時は大阪航路や津名航路もあったのに、次々と撤退したもんなぁ・・」などと感慨にふけっていましたが、実は私が出航時間を勘違していてほとんど1時間前(前の便が出たばっかり)に到着していただけで、出航時刻が近づくと100%とはいかないものの、かなりの活況を呈していました。

 さっそく乗船。飛行機と同じようなボーディングブリッジを使っての乗船です。従来型のハイドロフォイル艇と異なりジェットフォイル艇は桟橋に直付けできるので、この手の仕組みは不要な筈ですが、多分、乗客の荷物が多いという航路特性から、雨天時などに余計な混乱が起きない為の配慮なんでしょう。
 自由席という事で、待合室では乗船口に近い部分の椅子に陣取り、乗船列も早い目に並んだ事が功を成して窓際の席の確保に成功しました。
 出航。船首を陸に向ける形で接岸していたのですが、離岸後その場で旋回というウォータージェット推進船ならではの機動で船首を港口に向けて加速開始。港口の手前あたりで翼走に入ったらしく、波による動揺がぴたっと収まりました。
 機関がガスタービンのせいか、エンジン音が高いのが特徴。高速船としては嘘みたいに小さい震動はサイクルが小刻みで旋回するときに船体がぐーっと傾くところなど、「海の飛行機」は乗り心地も飛行機みたいな感じです。
 高速船らしく、キャビンに速度計が付いていますが、速度計に頼らなくても大阪湾は他の各種施設やランドマークなど対象物が多いので高速を実感できます。

 大阪湾を横切るだけに行き交う船も多く、船体に3羽の鳥を大書した大型フェリー<おれんじ8>も航路の前方を横切っていきました。
 <おれんじ8>は以前、四国から大阪に向かう便には乗船した事がありますが、今回出会ったのは大阪から四国に向かう便で大型フェリーには珍しい昼行便です。
 昼行でも夜行と料金は変わらないのでベッドが不要な昼行で上等級で利用するのはもったいない気がするし、到着時間の関係で旅程を立てるのには不便なのですが、上等級専用のフォワードラウンジで暮れゆく瀬戸内の島々を眺めるってのは凄く良さげな気がしてきたので、今度四国に行く機会があれば考慮してみる事にします。

 30分足らずでポートアイランドの南端のK−CAT到着。K−CATの位置はこの航路の最大の弱点とされていて、三宮まで連絡バスがありますが渋滞につかまると関空から神戸に来るのと同じだけの時間がかかる事もあるようです。
 乗ってきた<クリスタル・ウィング>の出港シーンを撮るべく港でウロウロしていたら当然ながら連絡バスは出た後で、タクシーを使うのも何なので、歩いてポートライナーの駅まで行く事に・・港って対象物が少ないから、よく距離感を失してしまい、変な所に入りこんだりしてしまうのですが・・・今回も1回曲がるところをまちがえて港湾短大に入りこみました。

 ポートライナーで三宮、そこから徒歩でようやく目的地元町の中華街へ・・・到着時刻15:45。家を出たのが9時前でしたから、実に7時間、飛行機なら北海道へ行って帰ってこれる時間です。
 ちなみに、帰りは元町からJRの普通で三宮に向かい、三宮から新快速で大阪、そこから地下鉄で自宅という、極めて標準的なコース。所要時間はだいたい1時間ぐらいでした(笑)

作戦地図