うたわれるもの
 うたわれるもの

  リーフ/アクアプラス 定価:8800円  発売:2002年4月
主人公とヒロインの1人がエピローグで発生あまり活かせてませんが病弱&盲目キャラあり

 リーフ東の18禁タクティカルRPG。
 本家(西)の方は依然として混乱マーカーが取れない模様のリーフですが、東の方は割と素直にスケールメリットを活かしたしっかりした作品を作ってきます。
 なお、携帯端末「P/EC」に対応していて、経験値稼ぎが出来るようになっていますが、使わなくても十分ヌルいので持ってない人も安心です。

 人間と獣の中間みたいな種族の暮らす世界(どうも、同じ時間軸上のあるような気もしますが結局不明)が舞台で記憶を失って倒れていた青年が主人公です。
 最初は自分を助け、受け入れてくれた村を護る為に戦いはじめ、継いで国を護るため、そして最後は神々の戦いと次第にスケールアップしていくのは、ファンタジー物のお約束。
 ゲームは最近では珍しい一本道。主人公を「お父さん」と慕うアルルゥを除く仲間になる女の子キャラ全員と主人公を慕う病弱キャラの合計6人とHシーンがありますが、1回のプレイで全部通り、CGも全部埋まっていました。
 Hシーンは完璧な薄味、リーフはHシーンになると性格が豹変する「オヤジ化」の傾向がありましたが、今回はそれもあまり感じられず、淡々としたもので、全く印象に残りませんでした。

 タクティカルRPGとしてはまあまあ。一定の規則で強制的に移動順がまわってくる混成強制ターン制で移動→攻撃を行うシステムでクリックのタイミングで連続技や必殺技が出たりする独自機能もありますが、まあ標準的な作りです。
 難易度は極めて低く、主人公やシナリオ指定キャラ以外は撃破されてもそのシナリオ中で使用不能となる以外はペナルティが無く、経験値まで貰えるヌルヌル仕様です。
 さらに、思考ロジックが弓や魔法を使う支援ユニットを除けば「目先の敵を攻撃する」になっているらしく、戦線を迂回したり浸透したりして、こちらの支援ユニットや回復ユニット、弱っているユニットを狙い撃ちにしたりしません。これだと、回復ユニットを後方に置く必要が無く、非常に楽に展開できるので張り合いはないですが、敵の主力ユニットが南洋の日本軍のような極端な浸透攻撃を行ってこちらの回復ユニットと刺し違えるといったタクティカルRPGにありがちな理不尽な事もないので、まあいいかって感じです。
 また、全体的にCPUが攻撃的なので地の利を活かした防御や積極的防御で敵の戦力をすり潰し易いのも難易度を下げている原因ですが、これも他にありがちな、敵から攻めてきている筈なのに、陣地をまったく動かないといった理不尽な事にならないので好印象です。これで張り合いがあるぐらい難易度があればなぁ・・って感じですが。

 この作品、序盤の出来が物凄く良いです。正体不明の主人公を受け入れてくれた村を守る為に立ち上がり、色々な人と出会い、交流し、そして別れ。いっきに物語りに惹きこまれゆく、導入部分斯くあるべしみたいな完璧な出来でした。
 中盤以降、敵の影に人間(半獣?)以外の物が見え始める頃から少し雲行きが怪しくなります。展開が強引になり、キャラの魅力も急減、バッググラウンドも「次第に明らかになってゆく」はずが巧いこと繋がってなかったり説明不測だったりで少々興ざめ気味になります。もっとも、この頃になるとキャラに思い入れが出来てくるので、その勢いで一気に終らせる事ができるので、それほど致命的でもないようです。

 私が納得できなかったのはオチ。こんだけ長い話で、一本道シナリオなんだから、ちゃんと最後まで責任とってください、って感じです。
 最近、「未完成」の物語があまりにも多すぎる気がします。結末を明かにしないのは確かにプレイ後の余韻が大きいですが、最近は余りにも重大な部分を残したりしすぎ。シナリオライターやデザイナーの構成力不足を誤魔化す小技になっている感があります。
 本作にしても主人公がラストで封印されるのですが、その後、理由の説明もなく、すぐに帰ってきた事を暗示させて終るとはいかがなものか?
 封じられたら封じられたでいいじゃないですか。エピローグはエルルゥがハクオロが封じられた廟室で話し掛けているとか、子供ができるとか(ユズハのエピローグとかぶりますが)。封印にエルルゥも飛びこんで2人で封印されるのもいいし、ハッピーエンドに仕上げるのだったら愛の力で全キャンセルでも、転生や夢で一旦オチて未来や別世界(なんとなく未来の話っぽいですが、同一時間軸という設定でないのなら、現代というのもいいかも)で結ばれてもいい。どうにでもできる筈なのに、なんでワザワザ理由の付かない終り方をしたのか・・・
(以上ネタばれを含みます。読む時は反転させてください。)

 あと、本作は大和、出雲、アイヌ、漢、北方騎馬など東アジアの民俗や言語がちゃんぽんになった面白い世界を採用していますが、用法がおかしかったり、意味が出鱈目だったりするのが混ざっていたりするのは、「ここまでやったんだから、最後までやれよ・・・」って感じで残念です。

 CGについては・・・リーフ東のCGにどういう文句をつければいいんでしょう?

 私的評価は上の中。後半は少し気に入りませんしオチのつけかたは不服ですが、前半部やシステム的には問題なし、さすがは大手といったところです。

 お気に入りは・・世間にはケモノ趣味(猫耳含む)な人も居ますが、私は余りその手の属性はないので、登場人物のほぼ全員に耳に毛が生えていたり尻尾のあるような本作はどうかな?なんて思っていましたが、序盤の出来がいいのとCGが綺麗なので違和感なく入り込めました。
 お気に入りトップはエルルゥ。最初に主人公を見つける物語のメインヒロイン。明るくて優しくて面倒見が良くてという、完璧超人。少しやきもち焼きな面があるのも魅力。戦闘では唯一の回復ユニットで物語を通じてなくてはならないユニットです。
 次点は戦闘で大活躍してくれたアルルゥ。エルルゥの妹で主人公を「お父さん」と呼んで慕う人見知りの無口系。攻撃に関して言えば主人公やトウカのほうが主力だったのですが、彼女はとにかく防御力が高く、敵中で孤立しても全く平気なので、突出する事で敵の行動を妨げたり、味方の側面を防御する等、戦術的に活躍しました。
 惜しいのはユズハ。病弱で盲目でストレートのロングヘアで清らかな心と勝ったも同然(?)のキャラなんですが、戦闘に参加せず、本筋に能動的に強く絡まないせいかイマイチ印象が薄かったです。いっそ、エピローグのアレをエンディング前に持ってくるとかした方がよかったかも?


うたわれるものと日本海軍

 トウカ。義を重んじるエヴェンクルガ族の女性。真面目で一直線ですが少々抜けていてギャグ寄りのキャラになっています。後半に参入するキャラですが、技の初期値が高くパラメータのバランスも取れているので成長させやすい為、最終戦まで主力として活躍できます。

 日本海軍は「藤花」。大戦末期に登場した陸軍機「剣」(キ−115)の海軍型に「藤花」の仮名称が与えられましたが、制式採用前に終戦となり実際に生産されることはありませんでした。

 剣は単座の軽爆撃機。物資貧窮の折りから、余剰のハ−115(海軍名「栄」)と木材やブリキなどのありあわせの材料を用い、省略できる部分は徹底的に省略し、引き込み脚まで省略してしまい、離陸後は車輪を切り離すというガッツな舟艇攻撃用の機体です。
 着陸装置無しというのは、いかにも特攻機ですが、主任設計者の青木氏いわく、開発段階はそういう意図は無く、攻撃後は砂浜に胴体着陸してエンジンと搭乗員だけ回収する「使い捨て爆撃機」だったそうです。
 もっとも、設計陣以外、上は軍の上層部から下は中島の工員まで、特攻機という認識だったらしく、試作機のお払いのときにも「往きて還らざる天く翔ける奇しき器」と特攻機扱いの祝詞を上げられたりしたそうです。
 スペック的には零戦や隼とほぼ同等でしたが、当然ながらエンジンが同じなだけで、そんな性能が出るはずもなく、離陸性能、操縦性能などが劣悪で一旦は「爆撃機として不適当」と認定されましたが、後に特攻機として復活し、約100機が生産されていますが、実戦に投入された記録はありません。

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