Alive renewal
 Alive renewal

  Witch 定価:8800円  発売:2001年3月

 18禁ノベル系AVG。2年ほど前に発売された「Alive」のリニューアル版でCGを書き直し、シナリオと音声を追加したものです。
 オリジナルの「Alive」の部分はSTORY1となり、久遠シナリオは久遠からみたリプレイが追加、全編に音声が付き、CGや細かいテキストは書きなおされされ、STORY1の久遠シナリオを少しいじったSTORY2、本筋側の話と思われるアナザーが追加されました。

 ゲーム形式は普通の選択肢型AVG。基本的に一本道でパラメータ分岐なども無い、単純分岐システムとなっています。(1ヶ所だけ、特定EDによる分岐制限がかかっている部分があります)
 ゲームシステムの出来は・・がんばって作ったのは判るのだけど、ちょーっと空廻りかな・・って感じ。既読メッセージスキップのような必須機能を欠いているのに、メニュー画面は凝ってますし、環境設定ではフォントのドロップシャドウのON/OFF切替えやCD−ROMの検出方法のようなあまり意味の無い項目が多く存在します。まあ、既にある機能を止めるモードを作るのと、まったく新しい機能をつくるのでは手間が違ってくるでしょうが、少なくとも不要な設定を凝る前にバージョン情報のダイアログは直しておくべきでしょう(バージョン0になってます)
 また、ロード画面では実日付と時間に加えて、セーブ時のメッセージが1行表示されるのですが、1行ではいつのデータが特定できない事が多く、あんまり役に立ちません。せめて、同じにゲーム中日時を入れるとか、サムネイル画像でも入れておいてくれたら便利だったんですが・・

 シナリオはいわゆる「前置型死にゲー」。プロローグで主人公と恋人の柚木の馬鹿ップルぶりを見せつけておいて、さくっと柚木を交通事故で殺し、ヒロイン達との出会い/交流で主人公が癒されるという典型的なもの。
 オリジナル版が出た時はまだ死にゲーがそんなに多くなかったので、インパクトがありましたが、今回は2回目であり、さらに最近の死にゲー大氾濫によりオリジナル版ほどのインパクトは感じられなくなりました。(私が好まないファンタジー色の増強も原因でしょうが・・)
 また、オリジナル版で久遠の存在(柚子シナリオのラスト含む)がとっぴすぎるという批判があったせいか、Renewalでは追加分のほぼ全てを久遠の正体に関する事に費やしています・・が、追加分のファンタジー色が強すぎる為、物語を掘り下げるのではなく、「世界設定を語るだけ」という取って付けた感炸裂な上塗りになってしまったのは残念なところです。

 死にゲーと奇跡は切り離しにくいので、ファンタジーに逃げるのも仕方ないのでしょうが、「Rainy Blue」のように、あくまで主人公中心で動かすか、「Kanon」のように奇跡の中身には深入りしないのが正解で、ファンタジーではない作品のファンタジー色の部分を延々と、謎のカタカナの名前の神だか天使だかの解説をされても困ってしまいます。

 また、凄く気になった点として、音声が付いているのはオリジナル分だけで追加分には音声なし、アナザーストーリーも完全に中途半端な状態で切れていて結局、オリジナル版の積み残しも消化できておらず、元々、「消化不良」な部分のあった作品がRenewalでは明かに「未完成」になっている点です。

 私的評価は「駄作」(下の上)。下というほど酷い作品ではないのですが、「リメイク版がオリジナル版より完成度が低い」という一点において超大減点、屋上屋を架した部分がファンタジーという点において私の嗜好と合わないので減点です。(これは「私的」評価ですから、私の嗜好は重要ポイントです)
 ちなみに、STORY1だけ(オリジナル版+音声+テキスト修正)なら「佳作」(上の下)ぐらいあげてもいいと思いました。

 お気に入りキャラは・・・あんまし萌え色が強くない作品ですが、やっぱりオーソドックスに柚木かなぁ・・プロローグで交通事故で死んじゃう不幸なキャラですが、彼女のEDは存在しています。
 彼女はシャワーシーンとスパンキング(?)シーン、下着シーンはありますが、どのルートでもHシーンが存在していないという18禁作品の本筋系のヒロインとしては極めて珍しい状態となっています。
 次点は久遠。特に柚木の事故の後に急変してからは主人公を想う気持ちがあふれている良い感じのキャラになるのですが、今回追加分のファンタジー部分でちょっと萎えてしまいます。

ARと日本海軍

 renewal新キャラ・如月刹那。実家が神社で真剣を持ち歩く危ない性格の女の子。「本筋」において重大な役割を担うのですが、上でも書いたように、かなりとってつけた感がするのは残念。

 日本海軍の<如月>は駆逐艦。神風型(初代)睦月型の2代あります

 2代目<如月>は大正12年竣工。舞鶴で建造されましたが、当時、舞鶴は軍縮で格下げされていた時期なので、舞鶴「工廠」ではなく舞鶴「工作部」製という事になります。
 開戦劈頭の昭和16年12月11日、ウェーク島上陸支援作戦中に米戦闘機の攻撃をうけ、爆雷が誘爆、あっけなく沈没してしまいました。
 旧式駆逐艦とはいえ、1000トン以上の艦艇が12ミリ機銃で沈んだというのは、あまりに哀しい出来事です。