学園祭と日本海軍


学園祭とは..

 メディアワークスのPS用恋愛SLG。

 主人公は学園祭の直前に転入してきた転校生で、学園祭の準備を通して女の子と仲良くなるという、王道系の設定です。
 システムも、マップ上を移動して女の子と出会い、会話して好感度を上げていくオーソドックスなもので、イベントの発生条件などはかなり余裕のある「下級生」系、それに『学園祭』という事で「各クラブの手伝い」や「各クラブで不足している物品の調達」という独自性をのっけたものです。
 攻略可能キャラはメイン10人、サブ9人。さすがにこれだけいれば『才色兼備』や『心を閉ざした奴』のような定番から『マッドサイエンティスト』『生霊』まで各種そろっていますが、定番中の定番である『幼馴染』や『妹』の系列は主人公は転校生なので居てません。
 ゲームバランスは良好。ゲーム期間が短いので完全オンリープレイにでも走らない限り、各キャラのイベントが薄味ながら、かなりの頻度で起きるので2〜3周遊ぶ分には絶妙のバランスだと言えます。ただし、完全攻略を目指すとメインキャラの複数攻略は調整が難しいので、下手すれば5〜6周(途中再開は別にして)ぐらいする羽目になり、こうなるとイベントが出尽くしてしまい、ちょっとダレる事になります。

 しかし、このゲーム、約10年後の2010年が舞台です。どうやら、この世界では恐怖の大王は降ってこなかったようですが、情景は現在と大差はなく、学校にコンピュータ室があるなど(つまり、まだ各教室に配備されていない特殊な機器扱いされている)あまり進歩はしてないようです。
 で、登場キャラはほとんどが中高校生なので1990年代生まれが大半を占めます。つまり、プレイヤーである私とは20年以上の年の差があり、実際の世界で20歳違いなんていうと良くて「エロジジイ」、悪くすれば「犯罪者」・・・さらに、このゲームには「購買のおばちゃん」が登場します。もう典型的なおばちゃんで女子大生の娘までいますが、彼女は1966年生まれ、実世界の一般的な社会規範に照らしても許容範囲です。
 そう考えると、妙な焦燥感を感じざるを得ませんでした。
 この程度で焦るようでは、私はまだまだ精進(なにのだ?)が足りないようです(笑)。

 萌えキャラは・・・内田真子ちゃん。
 明るく穏やかで家庭的な女の子、悩み事を内に溜め込む傾向あり。
 「悩み」がシナリオの基本。それなりに深刻な話なんですが、学園祭という非日常の中ではインパクトが弱まっており「普通の女の子」「普通の青春物」なんて印象をうけました。
 今までの傾向からするとタイプが違うというほどではありませんが、なずなか静香あたりの方が近い筈なんですが、なんで真子に惹かれたのかな。案外、その前にやった「センチ」(OVA&WIN)の安達妙子と「家庭的」で繋がったのかな?
 だれだ?実はその妹の方が目当てだろう?なんて言ってるやつは?←そこまでは病んでません。(^^;

 次点は生徒会役員で学園祭の実行委員長の水沢翔子。まじめだけど融通が利かず、かんしゃく持ちという定番キャラではあります。

発見!日本海軍

 このゲーム、確信系です。とは言っても「ツアーパーティ」や「エヴァ」にように完全に方向づいている訳でもなさそうで、きっと、開発者の中にこーいうのが好きな人がいて、独自の判断で練りこんでいるのではないかとも思えます。そういえば前作の「お嬢様特急」でも<鹿島>とか<北上>とか、通なところを付いてきていました。

 艦も<名取><伊吹><秋月><日向><鳴海><芙蓉>。その他、作中に登場するクイズに妙に軍人やニューブリテン島(ラバウルね)、ソロモン諸島、ダッチハーバー、アパラチア山脈、ボスポラス海峡など妙に硝煙の香りのするような地名が出てきます。
 また、科学部のパワードスーツは10式(いちまるしき)と「正しい」名前がつけられています。でも、個人的には70式にすべきだと思いますが(爆)

 名取エリカ。メディア部副部長。定番「変に明るい奴」担当です。ハーフという事ですが、肌の色やBGMから察するに中南米の方でしょうかね。「実は寂しい」なんてところも定番です。
 日本海軍の<名取>は所謂5500トン型軽巡。第1シリーズである球磨型の雷撃力を強化した第2シリーズ、長良型として大正9年12月14日に竣工しました。
 太平洋戦争ではいささか老朽化していましたが、第五水雷戦隊の旗艦として比島攻略やバタビア沖海戦などに参加しました。
 昭和19年8月18日、サマール沖数百kmの沖合いで米潜<ハードヘッド>の雷撃をうけ沈没しました。このとき、沈みゆく名取を脱出した短艇隊は数百kmを漂流して奇跡的に生還を果たしました。この脱出行は「先任将校−軍艦名取短艇隊生還ス−」(松永市郎著)に詳しく書かれています。

 秋月伊吹。テニス部部長。定番「男みたいな奴」担当だと思うのですが、「幼馴染→男友達みたいな関係」の系統ではないので、「男友達度」は低い目で活発でさばさばした女の子っていったレベルでしょうか。
 日本海軍の<秋月>は昭和17年竣工の基準排水量2701トンという軽巡並の大型駆逐艦。太平洋戦争最良の高射砲と言われる長10センチ高角砲を8門搭載した防空艦でしたが、戦局の悪化と電波兵器の遅れから満足に性能を発揮する機会には恵まれませんでした。
 捷一号作戦に小沢艦隊として参加、エンガノ岬沖で沈没しました。悲壮な囮としての最期でしたが、この海戦は日本機動部隊の最後の作戦であり、機動部隊の護衛を目的に建造された本艦の最期としてふさわしいと言えるものだったのかもしれません。
 なぜか沈没原因として爆撃説、被雷説、空母の盾になり魚雷に飛び込んだ説、味方砲弾の弾片が予備魚雷に命中して誘爆した説など諸説あります。
 日本海軍の<伊吹>は2隻。初代は明治42年に竣工した12インチ砲装備の1万4千トン装甲巡洋艦(後に巡洋戦艦に類別変更)です。有事に備えた船台期間の短縮実験が行われ、残業なして起工からわずか6ヶ月で進水に成功した記録をもっています。
 第一次世界大戦ではドイツ通商破壊艦<エムデン>を追って遥かニュージーランドまで進出しました。大正12年、ワシントン条約締結に伴い解体されその生涯を閉じました。
 二代目は改谷型の巡洋艦。建造中に空母に変更され、未完成のまま終戦・解体されました。

 鳴海泪。音楽部副部長。いわゆる「内気」キャラです。、同じく内気系の静香が人見知りをベースにした陽性なのに対し、泪は自分に自信が持てない陰性系といったところでしょうか。しかし、この手の女の子って怖いんです。
 日本海軍の<鳴海>は元イタリア河用砲艦<エルマーノ・カロッツオ>。大正10年に上海で竣工した8センチ砲装備の180トンの小型艦でした。昭和18年、イタリア降伏に伴い上海で自沈、その後、浮揚・整備され日本海軍に編入されました。
 戦後、行動不能状態で上海に残留。国府軍に接収され、さらに共産軍の手に渡る数奇な運命を辿った艦でした。

 日向照美。美術部部長。主人公よりも年上ですが、「ロリ」の定番に完全準拠しています。なお、某氏が彼女が私の一押しキャラに間違いない、なんて事をいっていましたが私の持論では、「ロリキャラ」ってのは「何も考えてない底抜けの明るさ」がウリな陽性と、「小さな身体と心で精一杯がんばる姿か健気」な陰性の2種類あると思うのですが、照美は前者、私の好みは後者なのでアウトオブ眼中です(^^;
 日本海軍の<日向>は大正7年建造の戦艦。排水量3万1千トン、主砲は36センチ砲12門、速力23ノットで当時としては世界で最も有力な戦艦でした。
 しかし、太平洋戦争では活躍の機会があたえられず、昭和17年に訓練中に損傷、後に伊勢型が航空戦艦に選ばれたのは、この事故で<日向>が5番砲塔を失っていたのも要因のひとつでした。
 航空戦艦に改造後も活躍の機会のないままレイテ沖海戦を生き残り、北号作戦で内地に帰還、20年3月の呉大空襲で大破着底し、そのまま終戦を迎え戦後、解体されました。

 芙蓉瞳。かくしキャラ的な存在なのであまり詳しくは書きませんが、よーするに生霊ってやつですな。
 日本海軍の<芙蓉>は若竹型二等駆逐艦。建造当所は<第16駆逐艦>と呼ばれていましたが、昭和3年、他の番号艦とともに固有名に変更となり<芙蓉>となりました。
 太平洋戦争に参加した駆逐艦では最古のグループ(+唯一の二等駆逐艦のグループ)に属していましたが、主に日本海や東・南支那海で船団護衛に従事、昭和18年12月20日、マニラ沖で米潜<バッファー>の雷撃をうけその生涯を閉じました。
 

   装甲巡洋艦(後に巡洋戦艦)<伊吹>