ときめきメモリアル2
 ときめきメモリアル2

  コナミ 定価:6800円  発売:99年11月

 PCエンジン、プレイステーション、サターンなどで大ヒットし、恋愛SLGの代名詞というべき地位を確立した「ときめきメモリアル」の続編。
 従来のシステムを継承しつつDISC5枚組の大ボリュームやキャラクターがプレイヤーの名前を呼ぶEVSなどで上積みを積んだ正統派スタイルの続編です。

 プレイ期間は前作と同じく高校入学から卒業までの3年。これに加えて今回は幼年期の5日間が加わっています。最近の傾向からすれば3年はかなり長い部類に入るのですが、野咲すみれのような特殊なキャラ(登場回数が非常に少ない上にED優先順位が低いので3年間、寝つづける事になる)などを別にすればイベント数などが多いのであまり気になりません。

 前作からの変化といえばヒロイン。ちゃんと時流に併せてか難攻不落の「高嶺の花」だった幼馴染は主人公に好意を寄せる「野に咲く花」に変わり、「心を閉ざした奴」も導入されました。ただ、幼馴染を、安直に流行に乗って神岸あかり(ToHeart)や長森瑞佳(ONE)のような「妹みたいな立場でありながら変に母性の強いキャラ」にしていないという点は好感が持てました。(※断っておきますが私は神岸あかりとか長森瑞佳は大好きですし楓原理主義[彼女も一方的な愛・献身という意味では母性が強い]に対する信仰も揺らいでおりません。ただ、母性が強すぎるキャラがここまで多い現状は多少は情けない気がするもんで・・安直に流れないのは「貴族の義務」だと思います。)

 音楽・CG・ストーリー(イベント)とも数・量ともに高い水準にあり、前作の大ヒット&開発元のスケールメリットにより発生しているアメリカ軍のような圧倒的な物量を巧く活かしている感があります。

 お気に入りはヒロイン・陽ノ下光。前述しましたが普通の女の子。(インターハイに出場して実業団に進むような奴が普通の女の子かどうかは疑問ですが)フツーのイベント、フツーの反応が妙にそそられます。
 ただ、この娘、攻略が簡単になったのはいいんですが、最初から好意を持っているので、他の娘を攻略するときはちょっと痛いですし、痛いからといって構ったりするとEDに突入しちゃう困ったキャラではあります。それゆえに敵視している人もいるようですが、EDに達しやすさ故に敵視されているメインヒロインというのもちょっと珍しいかも・・

 次点は・・うーん、「心を閉ざした奴」担当の八重花桜梨か「わがまま電脳お嬢様」伊集院メイか・・
 前者は年上、後者は年下。キャラのタイプとしても全く別ですが、どっちも登場直後は主人公を避けている/相手にもしてないのですが、後半は急転するという共通点があります(笑)

発見!日本海軍

 上でも紹介しましたが、メインヒロイン陽ノ下光。
 べつに、そういう名前の艦がある訳じゃないのですが、凄い名前なので・・「ひのもとひかり」、うーん、大日本精神溢れる名前です。両親は右翼屋さんなんでしょうか。「奉領歌・靖国神社の歌」(標準MIDI形式/2KB)なる陸海軍省選定歌があるんですが、歌詞は「ひーのーもーとーのー ひかりーにーはーえーてー」だったりします。しかし、この歌は公募曲なんですが、公募したのは主婦之友社・・・廻り回ってひとまわり(爆)
 そういえば、彼女は外国嫌いの攘夷派女子高生・水無月琴子と親友ですが、仲の良い理由って、もしかすると・・(笑)

 水無月琴子。日本文化を愛する大和撫子。普通、この手のキャラは黒髪でおっとり気味orいつも全力疾走のお嬢様と相場が決まっているもんですが、彼女はオデコな青髪、怒ったら怖い性格で適当にがんばる女の子でかなり意表をついたキャラです。
 日本文化を愛するといっても、一つ間違えると「日本通」のガイジンに近いような気も・・・少なくとも、校内をドテラ来て歩き回るのは大和撫子のする事じゃないような気がする今日この頃。
 日本海軍の<水無月>は2隻。水無月は陰暦6月の雅称で、他の月名艦と同じく初代が明治の(初代)神風型、二代目が睦月型の駆逐艦です。
 初代<水無月>は明治四十年竣工。すでに日露戦争は終結し、想定される戦場は日本海から太平洋にシフトしていた為、小型に過ぎる(初代)神風型は活躍の機会のないまま早期に除籍されていき、<水無月>も大正十三年に掃海艇に転籍となりました。
 二代目<水無月>は昭和二年竣工。こちらも太平洋戦争期には旧式化しており、南方作戦に従事した後は後方の船団護衛に終始し、昭和十九年六月に米潜<ハーダー>の雷撃を受けて沈没しています。

 一文字茜。両親が不在でバイトに明け暮れる苦学生。リーフで言うところの雛山理緒(ToHeart)といったトコですが(ただし、不幸は寿美幸が引き受けてますが)、立川郁美(こみっくパーティ)も混ざってます(笑)
 日本海軍の茜は計画艦のみで、丁型駆逐艦として2回計画名に上がりましたが、結局完成する事はありませんでした。

 白雪美帆。物静かなおっとり系の定番キャラですが、ロマンティストが行きすぎて少々、電波が入っています。挙動不信なところも電波系でしたが、EDルートに乗るとオチがつきます。
 日本海軍の<白雪>は2隻。明治の神風型特型駆逐艦。明治三十九年建造の初代は前述の<水無月>と同様、活躍の機会のないまま除籍となりました。
 二代目は昭和3年竣工。太平洋戦争では世界を震撼させた特型駆逐艦も流石に旧式化していましたが南方、ミッドウェイ、ソロモンなど昭和十八年三月、ビスマルク海海戦で沈没するまで第一戦で活躍しました。

 隠しキャラ扱いですが、九段下舞佳って人が居ます。九段下なんて船はありませんが、九段といえば将兵が戦死したら行くところ(靖国神社があります)なので、軍隊と縁の深い地名ではあります。
 もうひとり隠しキャラ扱いの野咲すみれ。サーカス少女。なんか、まんまな名前ですが、こっちは<菫>って船もありました。(丁型駆逐艦

 ついでに、伊集院家について・・ときメモでは伊集院家は「漫画みたいな大財閥」ですが、実際の伊集院家といえば古くは薩摩藩に仕え、維新後は「伊集院信管」や「月月火水木金金」の考案者として知られる伊集院五郎大将・元帥を初め、第一護衛船団司令官として戦死した伊集院松治中将、海軍黎明期の将官のひとり伊集院兼寛少将、大正期に活躍した伊集院俊少将など多くの軍人を輩出した海軍と非常に縁の深い鹿児島の武門です。