TRICOLORE
 TRICOLORE

  PL+US 定価:8800円  発売:2001年4月

 PL+USのノベル系18禁AVG。
 メインヒロインがロボットという、いわゆるロボ子ものです。
 このジャンル、「WoRks Doll」「マリオネットカンパニー」「Pure Doll」「RISE」など、ある時期に大成長し、その後、若干落ちつきを見せているように思えます。

 ストーリーは主人公の父親(科学者)から女の子型ロボット「真珠」の教育とモニターを依頼され、ロボットと共同生活をはじめる・・・しかし、そのロボットは「真珠」の他に「朱鷺乃」「藍」の人格も持つ多重人格だった。というもの。
 真珠と藍の2人はロボ子と人間の恋愛という事で「プログラミングされた感情」「人の役に立つ機械」といった、To HeartのマルチのSSで良く見かけるような極めてお約束なお話、朱鷺乃さんは設定が少々特殊なのでちょっと毛色の違ったお話になっています。

 各個のストーリーとしては極めて良く出来ていると思うのですが、ストーリー間の設定の持ち合いが甘い部分があったり、展開が強引すぎるような部分が目に付き、また、サブキャラも活きておらず、主人公の女友達の神群玻漓やヒロインとは別のロボ子の紫苑あたりは、序盤はそれなりに作りこまれているものの、中盤以降は極めて淡白な扱いを受けています。
 素材のレベルが高い上に物語も上手なだけに、余計に完成度の低さが目立ってしまう、そんな感じがします。

 ゲームの形態は典型的なノベル系。一部にパラメータ分岐があるのか、ダミー選択肢が多いのかちょっと判りかねるのですが、ストーリー分岐に対して選択肢が多いような気がしました。難易度は低い目です。

 システムの出来はノベル系としては過不足の無い出来。PL+USは既作4作すべてがノベル系ですから流石にこなれて来ています。
 読み返し系の機能の操作性がいまいちでホイールにも未対応なのは難点ですが、選択肢跨ぎの読み返し等はできますし、既読スキップは高速、マウスカーソル自動移動もON/OFFできるなど、実用面で特に問題なし。
 セーブ/ロードダイアログでは実日付と時間のほかにゲーム中日付が表示されます。ソフトによってはサムネイル画像や直前のメッセージを表示するものもありますが、とりあえずゲーム中日付だけでも出してくれれば大変助かります。逆にサムネイルだけとか直前メッセージだけの場合、ソフトの作りによっては何時のシーンか区別が付かない事があるので、どれか1つなら日付を取ります。
 セーブ箇所は80、選択肢表示中でもセーブ/ロード可能ですが、全分岐でセーブしても足りる量なので充分すぎです。

 CGについては、過去3作は少々癖があったのですが、今回はかなりニュートラルに近づいています。
 音楽は並。どっかで聞いたことあるような曲ですが、変に自己主張することなく、自らの役割を果たしています。EDはヴォーカル付きですが、シンガーが下手なのか、レコーディングが悪いのか、あんまり巧くありません。

 私的評価は・・・「凡作」(中の中)。ひたすら基本能力の高さと完成度の低さが目立った作品でした。あと少し練りこめば確実に名作になったであろうに、作る側にとっても、遊ぶ側にしても残念な事だと思います。

 お気に入りのキャラは・・性格的には無愛想系の藍や紫苑なんでしょうが、奥行きの深さからメインヒロインの真珠という事で。純真無垢、天真爛漫で無邪気な性格なロボ子です。序盤は白痴系に近いのですが、学習して、良い感じのキャラになります。

トリコロールと日本海軍

 紫苑。おかっぱで無口で日本人形のような顔立ち・・丁度、本作と平行して遊んでいたソフトが「もみじ〜ワタシ、人形じゃありません…〜」でして、それのヒロインもおかっぱで無口ですが、流行ってるんですかね?
 彼女は実は、ロボ子。藍ストーリー上で大きな役割を果たしますが、その割には全くキャラが動いていないのが残念な所。

 日本海軍の<紫苑>は二等駆逐艦。大正7年度計画の所謂「八六艦隊計画」(八八艦隊計画の前段階的計画)の一貫として第二号型(若竹型)として計画されましたが、ワシントン軍縮条約による八八艦隊計画放棄に伴う計画変更により未起工に終わりました。

 ちなみに二等駆逐艦とは常備排水量1000t以下の駆逐艦のことで明治40年度計画の櫻型から大正7年度計画の若竹型まで、排水量1000t以上の一等駆逐艦と平行して整備された艦種です。
 対応する一等駆逐艦と比べ、砲力と速力で若干劣るものの、雷装については同等か場合によってはそれ以上のものを装備しており、艦隊決戦においては、味方戦艦を護衛しつつ、好機が至れば水雷突撃を敢行する役割を予定されていました。(一等駆逐艦は巡洋戦艦と共に前衛として夜襲を担当)
 本質的に高価な一等駆逐艦では必要な数を揃えられない日本海軍の懐具合が生んだ艦種で、合計51隻が建造されましたが、ロンドン軍縮条約で駆逐艦も保有制限の対象となった事から一等駆逐艦一本に絞られる事となり、若竹型が最後の二等駆逐艦となりました。