トゥインクルレビュー
 トゥインクルレビュー

  フェアリーテール 定価:8800円  発売:99年11月

 フェアリーテールの18禁恋愛アドベンチャー。

 ストーリーは主人公は芸能プロダクションのマネージャー。未来のスターを見つける為に、南の孤島にあるタレント養成学校「トゥインクル・アクターズ・スクール」に身分を隠して赴き、3週間の間、レッスンに参加したり候補生の日常に触れたり(あるいはデートしたり)して過す、というものです。

 1日2回のレッスン内容を選択して毎日が進行していき、昼休みやレッスン後、あるいは土曜の午後や休日に2択ないし3択の選択肢が出るシステム。形式的にはアドベンチャーですが、分岐は選択肢によるフラグ分岐だけでなく選択の積み重ねによる好感度、愛情度、信頼度のパラメータ分岐もあるようです。
 特徴は「トゥインクル・ナビ」。1日に3回だけ、より好感度や愛情度の上昇の大きい選択肢を追加できるというもの。あるキャラに丸1日貼りついていた場合の選択肢の発生回数は3〜6回ぐらいで、後半に比較的重要な選択肢が来ることが多く、「ここで使うべきか・・いや、まだ後ろにあるかもしれない・・」と結構、プレイに緊張感を出すのに成功しています。(戦術級SLGの航空支援みたいなもんか?)

 毎日のスケジュール選択で「誰かと同じ」という風な選択が出来たり、クイックセーブが複数個あったり、毎日のオートセーブがあったりと非常に親切な作りで、既読メッセージのスキップや音声の中断もしっかりしています。ただし、今回は若干、動作が重いのが気になりました。F&Cの独自システムとしては最初期にあたる「With You」は非常に動作の軽いシステムだったんですが、どうしたんでしょうか。
 それにしても、F&Cは新作が出るたびに着実にシステムがパワーアップして、痒いところに手が届くようになっていっており、その辺は老舗(大手)の面目躍如といったところです。
 共通システムといえばF&C以外ではビジュアルアーツのやつが多くの作品で使用されていますが、これもバグが少なくて安心して遊べます。長らく家内制手工業だったギャルゲーにもスケールメリットがモノを言う時代が来たという事でしょうか。

 内容的には若干薄味気味。最近、腎臓病だとか奇跡だとか強烈な設定のギャルゲーが多いので、普通の話だと、どーしても印象が薄くなりがちなんですが、魅力的なキャラと要所を押さえた展開は流石は老舗というべきでしょう。
 もっとも、本作の場合、本当に大技を使っていないかというと、そういう訳ではなく、「南の島のタレント養成所」「怪我で挫折したダンサー」「偉大な姉に悩む妹」などたいがい強烈な技を使っているのですが、あまり浮世離れした印象を受けないのは、不思議なところです。

 CGは美麗。F&Cは開発体制がしっかりしているのか、人の入れ替えが起きてもクォリティを維持できるようで、一番安心して見てられるソフトハウスで、本作も全く問題はありません。
 音楽も綺麗です。しかし、いまどき118音源に対応しているのは珍しいと思います。あと、本作はオープニング曲に加え、各キャラごと(無いキャラもある)にエンディング曲が用意されており全6曲。それもED曲は各キャラのイメージに合わせた曲でなかなかに力が入っています。

 萌えキャラは・・・う〜ん、ムツカシイなぁ。どのキャラもポイントを押さえた魅力的なキャラなんですが、薄味テイストで甲乙が付けにくいです。
 元ダンサーでマネージャーだった主人公を今も想い続ける音羽早苗、イタリア帰りのお嬢様で「可愛い」と言われると照れてどもってしまう守桜静夜、無愛想だけど実は努力家の上小園繭あたりがお気に入りです。

発見!日本海軍

 音羽早苗。主人公がかつてマネージャーをしていたダンサーで将来を嘱望されていましたが、事故で断念し、現在はトゥインクル・アクターズ・スクールで寮長をしています。
 日本海軍は<音羽>と<早苗>。<音羽>は明治37年建造の軽巡洋艦の祖先にあたる防護巡洋艦(類別は三等巡洋艦)で日露戦争では第四戦隊に属して日本海海戦にも参加しました。大正6年に地中海遠征の為に佐世保に回航中に座礁事故を起こし沈没。
 <早苗>は大正12年建造の若竹型二等駆逐艦。建造中に関東大震災に遭うものの、進水後だった為に被害を免れました。太平洋戦争では旧式艦ながら船団護衛の主力として活躍しましたが、昭和18年11月18日にセレベス海で米潜<ブルーフィッシュ>の雷撃を受けて沈没しました。

 上小園茜。ヒロインのひとりである上小園繭の姉で若手ナンバーワンの女優。チラっとしか出てきませんが、なかなか面白い性格なんじゃないかと思います。
 日本海軍の<茜>は計画のみ。昭和17年度計画の丁型駆逐艦の5515号の艦名に予定されていましたが、<葵>に変更、かわりに昭和19年度計画の改丁型駆逐艦の4803号が<野菊>から<茜>となりましたが、どちらも未起工のまま建造取りやめとなっています。