WHITE ALBUMと日本海軍



WHITE ALBUMとは..

 「雫」「痕」「To Heart」と快進撃を続けるリーフのパソコン版18禁恋愛SLG(AVG)。
 「綴られる冬のアルバムはいつも、白く、切なく・・・」

 ストーリーは平凡な大学生が主人公。ただ平凡じゃないのは、恋人が売り出し中のアイドル歌手・森川由綺であるという事・・・
 当然、主人公は世の恋人のように、ラヴラヴできない訳で、そんなさびしさの中でみつけた別の恋を育むのか、それとも恋人を信じて愛を貫くのか、そんな葛藤を描いた珠玉の名作です。

 システムは「学校」「自由」など1週間のスケジュールを決めて行動するというもので、典型的な恋愛SLGなのですが、プレイした印象は「ときめきメモリアル」とか「センチメンタルグラフティ」といった、代表的な恋愛SLGよりもAVG(ヴィジュアルノベル)である「To Heart」により近い印象を受けました。
 予定を組んだ所で、キャラの出現はランダムの要素が入っているので、あまり意義も感じられませんが、割とさくさく進んでストレスは感じないのでシステム的には可も無く不可もなくといった所です。

 シナリオは、一途に自分の事を想っている、だけど会えない恋人と、心の隙間を埋めてくれる別の温もりの間で揺れる心がキーらしく、「痕」や「To Heart」のように、一撃必殺の破壊力はありませんが、葛藤や罪悪感、さびしさを嫌というほど、それこそ、ゲーム中、ふと醒めると「なんで8800円も払って、こんな苦しい想いをしないといけないんだ?」と考えてしまうような、αγ線じみた持続的な破壊力があります。
 設定的に前作「To Heart」の後継のような先入観があったのですが、全編を通じてプレイヤーに与えるプレッシャーは、むしろ「痕」に近い印象を受けました。

 ただ、「To Heart」のように、設定やイベントの内容が素晴らしいのではなく、文章と感情の流れをして名作たらしめているので、感情移入せずに遊んだり、メッセージを斜め読みして遊ぶと古臭い「三文トレンディドラマ」になるし、主人公の感情の描画が超過傾向にあり(男の側の感情描画が多いのはリーフの作品に共通する長所であるが、弱点でもあると思う)主人公に反感を感じちゃうと醒めちゃうので、評価が別れる作品になるかもしれません。


 私の萌えキャラは・・・ヒロイン、森川由綺。
 「自分の事よりも他人の事を思ってしまう」、初音→マルチ/あかりと来る無敵のサイアーラインに属するキャラで、その威力はさらに磨きがかかり、条約で制限しないといけないレベルに近づきつつあります。
 まだ遊んでない人にはひとつ忠告。精神防御力/回復力に自信の無い人は由綺は最後に攻略しましょう。でないと、ツラクて遊べなくなっちゃいます。(「痕」で千鶴さんや楓ちゃんの為に他のシナリオが楽しめなかった人は要注意)

 ”お姉さん”美咲さんも良いキャラです。この人は千鶴さん(外伝等は除く)に瑞穂かマルチをブレンドしたタイプでしょうか。この人のシナリオもツライです。
 そーいえば、「親友の想い人」ネタはお約束のストーリーですが、リーフでは初めか・・

 ”幼馴染”はるかもいい味を出しているのですが、ツメが多少、甘いようです。”幼馴染”ですが、あかりというより、陽性の瑠璃子さんって印象です。
 この人はシナリオは他の人とあまり連係しないので、まだ楽です。でも、「大切な物を失う不安」をヒシヒシと感じさせるシナリオではあります。


発見!日本海軍

 篠塚弥生。
 ヒロインの森川由綺のマネージャー。由綺の才能に惚れ込んでいて、彼女の障害になる全てを(身を挺してでも)取り除こうとする一途ですが冷徹な人です。
 日本海軍の<弥生>は睦月型駆逐艦。ただしくは<彌生>と書きます。
 大正15年竣工。我が駆逐艦として最後に外国製の機関(MVタービン)を搭載した艦です。
 老嬢ながら上海事変では呉松砲撃、太平洋戦争ではウェーク、ラバウル、ブーゲンビル、アドミラルティ、ポートモレスビーなどの攻略戦で活躍しましたが昭和17年9月1日、ラビ攻略戦中にニューギニア沖で英米陸軍機の攻撃を受け沈没しました。


 主人公の住んでいる町は伊吹市です。繁華街のある賑やかな町という事になってますが、もしかすると、モデルは伊丹市かな。
 とすると、蛍ヶ崎は蛍ヶ池・・悠凪市は・・大阪市っぽいのだけど、決して「穏やかな町」じゃないしなぁ・・
 日本海軍の<伊吹>は2隻。
 初代は明治42年竣工の巡洋艦。我が巡洋艦で初めてタービン推進を採用した艦で、戦時急造のテストケースとして6ヶ月で進水に成功しています。
 第一次世界大戦ではドイツの通商破壊巡洋艦<エムデン>を追ってオーストラリア・ニュージーランド方面まで遠征しました。
 二代目は昭和16年の(急)計画で計画された改最上型巡洋艦です。
 戦局の変化に伴い、途中で空母に改造される事になりました。12500トンの小型空母ながら、強力な対空兵装を備えた、それなりに有力な艦となる予定でしたが、昭和20年3月、工程80%で工事中止、破棄されました。戦後解体。