W i n d
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  Minori 定価:8800円  発売:2002年4月
全シナリオについて生死にかかわる話があります。妹シナリオと姉妹シナリオに病気が出ます。

 Minoriの18禁AVG。Minoriは本作で2作目。
 前作「BITTER SWEET FOOLS」は「少女に対するドリーム」という、電波にも近い波動がだだ漏れの「コダワリの一品」でしたが、今回は絵柄や設定などが割と普通っぽい作品でした。

 ストーリー的にはわりとありがちな伝奇系の地盤の上に学園物が乗っかっているようなスタイル(開発的には学園物を作っていて伝奇に振れたみたいですが)。

 設定上の特色として、舞台となる風音市の住民はほとんどが何らかの超情的な「力」が使えるというのがあります。かなり突飛な設定で、それが違和感なく受け入れられている世界に最初は「なんだこりゃ」と思いましたが、まあそれなりに巧い理由がついていたのは感心。
 この力は「想いの力」だそうで、たとえば風を操る能力はハーモニカの音色を相手に届けたいという想いが、身体能力の強化は元気な姿を見せたいという想いが、治癒能力はあいてを助けたいという想いが、離れたものを斬る力は相手を護りたいといが想いが産み出すという説明。個別に説明されない物音を立てない力や相手の心を読む力も持っているキャラから、どんな想いから産まれたのか想像できますが、「ワックスを一瞬で床に広げる力」だけは想像がつきません(笑)

 ゲーム期間は春から夏にかけての数ヶ月。
 序盤の共通部分が少し冗長すぎる感がある反面、後半は少し駆け足すぎるような気がします。テキストも今1つこなれていなくて読みにくい感じがしますが、まあ、設定が判りにくい伝奇系の話で言いたいことは伝わっているので、まあギリギリ及第といったところでしょうか。

 攻略可能ヒロインは幼い頃に別れた可変型幼馴染のみなも、妹のひたな、活発ポニテだけど実は心臓が悪い望、望の妹で大人し目だけど意思は強いわかば、無愛想系ロリキャラで本筋担当の彩(ひかり)の5人。属性を押さえてきてますし、巫女服やメイド服など飛び道具も有りです。
 ただ、前作に引き続きマニュアルのトラブルシューティングに「もっとアダルティなお姉さんがみたい」→「このゲームにはそういう属性はついていません、他のゲームを買ってください」みたいな事が書いてあり、実際、攻略可能ヒロイン5人中4人が年下(ただし1人は実年齢はかなり上)なのですが、「発育の悪い」キャラが2人だけというの羊頭狗肉の謗りは免れ得ないのではないかと、私は声を大にして言いたい。

 CGは綺麗です。一部に立ち絵が雑だったり、たった一人の肉親を亡くして落ちこんでいるキャラが微笑してたりとパターン不足が目立ちますが、  あと、Hシーンは各キャラ1回(1人だけ2回)で純愛系としては標準的なものですが、CGが妙にえっちぃ感じがします。

 システム的にはやや難あり。メニューで「SKIP」と表記されている機能は音声をOFFにしない限り「自動送り」でしかなく、本当にスキップさせようとするとCTRLキーを押しつづける必要があり、共通部分が長い本作ではかなり面倒です。
 セーブ/ロードはどこでもセーブできる上にセーブ個所も多く、サムネイル画像もついて及第、テキスト読み返しは少し短い感じがしますが、まあ普通。ただし、通常モードに戻るさいの処理が悪いのが希にメッセージウィンドウが乱れる事があります。(すぐに元に戻るので影響は無い)
 バグについては発売直後からパッチがリリースされていますが、23日のパッチ適用後もウィルスチェッカと仮想CD−ROM以外はこれといって特殊なものは入っていないMeプレインストールのノートで遊んだのですが、3回ほど赤×が出ました。ただし、いきなり強制終了したりフリーズするのではなく「OK」を押すまでは普通に動き、セーブして再開する事が出来たので情状酌量とします。

 レーティングは死1/病2。グランドストーリーに強く係っているヒロインが全シナリオを通してそっち系におちますし、また別ヒロインも死ぬ事があって5つのEDで延べ7人のヒロインが死ぬので全シナリオを通じて強く影響していると判定し1種認定。病気についても3人ほどが病気またはリーチ状態になり、1人は序盤から通しで病人ですがグランドストーリーにはあまり強く影響していないので2種認定です。

 私的評価は・・上の下。発売前に発表された新海氏によるデモムービーが非常に評判が良かった為(私としては前作BSFのデモムービーの方がセンスがいいと思うのですが・・)やら発売前の開発者の自身満々のコメントから発売前期待が高くなりすぎて発売後に大いに叩かれるという状況に陥りましたが、色眼鏡を外してみれば、減点要素も多いもののトータルでは良く出来た作品だったと思われます。

 お気に入りは・・鳴風みなも。幼い頃に判れた幼馴染で主人公と交わした「再会」と「結婚」の約束を信じつづけていて、再会した後も主人公を想い続けるという卑怯なキャラ。当然、他のキャラに行く時には罪悪感ちくちく。(精神が不安定になり)激昂して主人公に思いをぶつけるシーンが、なんか良いです。


Windと日本海軍

 藤宮わかば。藤宮望の妹。大人しめの眼鏡ッ子。姉の事をただ一心に思う。
 割と強力な属性を持っているキャラですが、なんか印象は弱い目でした。EDでは衝撃の事実が明らかにされ、他のキャラのネタまでバラしてくれる難儀な仕組みです。
 日本海軍では<若葉>という駆逐艦がありましたが、今回は海上自衛隊の<わかば>について。
 元々は日本海軍の一等駆逐艦<梨>。日本海軍の駆逐艦の最終シリーズである橘型駆逐艦として昭和20年3月15日に竣工。同年7月28日には柳井沖で空襲を受けて沈没、9月15日に除籍となりました。
 その後、戦後処理により日本海軍の残存駆逐艦は全て賠償艦か解体処分(沈設なども含む)となりましたが、すでに除籍されている<梨>はそのまま安芸灘の海底で眠りつづけ、昭和29年にスクラップにする為に浮揚させたところ、状態が良好だった為に護衛艦として再利用する事となり、昭和31年に護衛艦<わかば>再就役しました。
 (少なくとも自衛隊には)同型艦が無い為、複数の艦をセットで使用する事が前提の通常の任務には使い勝手は悪かったですが、練習艦、レーダーピケット艦、実験艦などさまざまな特殊用途で活躍し昭和46年まで活躍しました。
 下の絵は昭和37年頃の姿で武装は76ミリ連装速射砲が1基、53センチ連装魚雷発射管が1基、ほかに爆雷投下軌条などを装備していました。なお、艦橋の上についているパラボラアンテナはメーサー砲、非常に強力な兵器ですが核によって突然変異の恐竜や宇宙から飛来した巨大生物などに対抗する為のものなので人類に対して向けられる事はありません。(というのはもちろん嘘で、本当は高角測定レーダーです)

 紫光院霞。主人公の親友の橘勤の幼馴染。2人の関係は素直になれないお約束な幼馴染関係。すごくいい関係でこの2人の話も是非見たいところ。次回作のオマケかファンディスクに収録できませんかね?
 艦は<霞>と<橘>でいずれも駆逐艦。<霞>は艦隊型の朝潮型、<橘>は戦時量産の橘型です。

わかば(元梨)
 海上自衛隊 護衛艦<わかば>(元駆逐艦<梨>)

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