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ゼロ戦じゃなくて零戦だ
8/13
名古屋→名古屋空港→西春
8/13
西春→犬山→明治村→名古屋

 今回、帝都遠征(聖地巡礼?)の返す刀で名古屋に行ってきました。

 名古屋といえば、嘘が嫌いでアンモナイトにトラウマのある山本るりかですが、大須にあまり魅力は感じないし(1日フルに使えるのならともかく、半日旅行でその為だけに行くってのも何なので・・)、名古屋港も月曜日は<ふじ>も水族館も休みという事で、るりかは置いておいて名古屋空港と明治村にしました。

 なお、このタイトル「ゼロ戦じゃなくて零戦だ」ってのは某DC版ゲームソフト(PCからの移植)の作中に登場する本のタイトルでして、実際、「ゼロセン」というといちいち「レイセン」と訂正してくる人が居ますが、私個人としては普段の会話のように正確さを特に要求されない場面では「ゼロセン」でも構わないとは思ってます。


 まずは名古屋駅から名鉄バスで名古屋空港へ。しかし、名鉄バスの名古屋駅前の乗り場ってビルの3階と4階なんですね・・ちょっと珍しいかも。
 高速道路をとおって30分で名古屋空港到着。

フェイズ1・名古屋空港

零戦32型  
名古屋空港の零戦32型
零戦63型  
【参考】白浜の零戦63型
模型とパネル  
エンジンと各種展示装置  
飛行機の模型やエンジンのカットモデル、パネルなど
ロケット  
こちらはロケットの展示

 別に飛行機に乗る用があるのではありません。というか、帰りの新幹線は確保済み。では、なんで空港かというと、ここ名古屋空港国内線ターミナルの3F、航空宇宙館にはサイパンに落ちてた零式艦上戦闘機32型が復元・展示されているのです。
 実は細かい部分が少々怪しい復元なのですが、日本国内で復元されている32型はこれ1機だけ(世界で1機という説もあるが、どうやらニュージーランドにもう1機あるらしい)なので大変貴重な品です。

 この零戦、他の零戦と少々形状が違っています。参考までに白浜に展示されている63型の写真も載せますが、63型の翼端が円弧状になっているのに対し32型の翼端は途中で切り落としたような角状になっているのがお判りになるでしょうか?
 別にサイパンから持ってくる途中に壊した訳でも、台南空の零戦のアンテナのように現地で「翼端なんて飾りですよ。偉い人にはそれが判らんのです」などと言って切りとってしまった訳でもなく、32型は最初からこういう形なのです。
 オリジナルの零戦(試作型や初期型の11型)では横幅が少し大きすぎて空母のエレベータに載せる時に気をつけないと翼端をひっかけて壊してしまう危険があり、マイナーチェンジ版である21型では翼端50センチの所で折りたためる機構が取りつけられましたが、32型では、この折りたたみ機能が冗長であるとして省略され、翼そのものが短縮されて特徴のある翼端となったのです。

 32型は航続距離や旋回性能を犠牲に速度や横転性能の向上を図ったモデルですが、航続距離がモロに落ちた割には速度の向上は微々たるもので、ソロモン方面などの長離侵攻戦には不適であった事から、300余機で生産中止となり、シリーズの主流は21型に回帰した22型に戻り、さらに円弧状のまま翼を短縮した52型に発展する事になります。
 米軍も32型を特殊な機体であると認識しており、零戦は11型から63型まで「Zeek」というコードネームで呼びましたが、32型だけは「Hamp」と呼んでいたようです。

 ちなみに、零戦のxx型というのは、10の桁が機体バージョン、1の桁が発動機バーージョンという意味で、32型は3番目の機体で2番目のエンジンという事になります。
 零戦の各バージョンは下の表のようなルールになっています。
主な機体特徴(10桁)発動機(1桁)
初期型。翼端折り畳みなし栄12型(940hp)
翼端折り畳み機構付き栄21型(1130hp)
翼端短縮(角状)栄31型/水メタノール噴射装置付き
欠番栄31型/水メタノール噴射装置なし
翼端短縮(円弧状)、ロケット排気管など
戦闘爆撃機(特攻)型
 この他、「A6Mx」という言い方もあり、32型はA6M3ですが、これは艦上戦闘機「A」、6機種目の制式機「6」、三菱製「M」、バージョン「3」という意味になります。
 ついでに零戦の零とは制式採用された年を表します。零戦を含む昭和初期の頃は紀元年(皇紀。神武帝即位を元年とする日本独自の暦)を使っていて、零戦は紀元2600年(1940年)なので零式です。(陸軍では2600年採用は百式)
 ちなみに、昭和初期以前のx式は年号年、自衛隊のx式は西暦年なので混同すると少々ややこしい事になります。

 零戦の奥には名機百選と称しアンリ・ファルマンからジャンボジェットまで1/25の精緻な模型がずらっと100機。
 こういう展示って、軍用機を必要以上に避けてるケースが見られますが、ここは軍用機差別はないようで、7割以上が軍用機です。もっとも、日本航空史から軍用機を抜いたら殆ど何も残りませんけどね。

 その横のパネルは世界の航空史トピックス。最初の飛行だとか最大の飛行機とかありがちネタの他に、日本の航研のA−26が連続長距離飛行記録を達成するも、戦時中の為に公式記録として認められなった「幻の世界記録」、超音速旅客機コンコルドのコピーでオリジナルより2ヶ月ほど早く初飛行したものの、お披露目の航空ショーで空中分解したソ連のTu−144「コンコルドスキー」、音速に挑んだ女性戦闘機パイロットであるアメリカのジャクリーヌ・コクランとフランスのジャクリーヌ・オリール「二人のジャッキー」など、ちょっと通なトピックも紹介されています。
 その他、エンジンのカットモデルとフライトシミュレータ、揚力の仕組みを水流に置き換えて説明する装置などがありました。

 さらに奥は航空宇宙館の宇宙の方。ロケットの推力の説明やらスイングバイ航法、ジャイロなどが解説されていて、一部は実験装置で視覚的に理解できます。
 また、ペンシルロケットからの各種ロケットの模型も展示されています。

 訪れる前は実機展示が零戦の他はMU−2Aと369HSという退役機を譲ってもらいました的なチョイス、他も模型とパネル展示という事で、「いかにも」って感じの、おざなりな展示を覚悟していて「零戦だけ見れたらいいや」って思っていたのですが、どうして中々、しっかりした展示の良い博物館でした。ただ、展示内容を入れ替えてないのか、少々古い内容があったのが気になる点。アンリ・ファルマンや零戦など歴史に属するもので展示が古いのは別にかまわないと思いますが、ロケット関係のような最新技術で古いのはどうかと思います。


 航空宇宙館の横は送迎デッキ。ずらーっと親子連れと飛行機マニアな人たちが並んでいました。
 名古屋空港は国際空港としては小さい空港ですが、それ故にチャーター機や小型機も発着しますし、航空自衛隊の小牧基地も隣接していて関空や成田よりバリエーション豊かでいいのかもしれません。

 次の目的地は犬山の明治村。名古屋空港からは名鉄バスで名鉄西春へ。

 次は明治村