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12月31日 瀬戸内海の優雅な船旅

新門司フェリーターミナル  
新門司FT。私的にはこういうセンスはどうかと思うのですが・・
特別室(リビング)  
リビングルーム。
特別室(寝室)  
寝室。
特別室(デッキ)  
プライベートデッキ。見えているのは明石海峡大橋。

 帰りのフェリーは新門司港発。新しいフェリーターミナルの例に漏れずとんでもなく不便な所にあるので連絡バスは必須です。
 連絡バスの発着するJR小倉駅北口に行って見ると・・まだバスの時刻まで30分もあるのにバスが止まっています。「あらー、また30分間違えてたのかー」と慌てていってみると・・ツアー用の臨時バスでした。USJツアーかなんかですかね。
 定刻より少し送れてバス到着。一山超えて新門司につくと・・なんか異様な建物がフェリーの前に見えますが・・・なんじゃあれは?などと思っていると、その前にバスが停車。なんとフェリーターミナルですか・・

 外は趣味が変でも中はマモト。すでに乗船が開始されていたので、さっそく乗船名簿を記入して乗船手続き・・JRのみどりの窓口でもそうですが、なんで申込書やらの各種フォーマットを記入せずに並んで窓口でどうこうしようとする人がいるんでしょうかね・・特に長距離船の場合、乗船名簿を書かないと乗れないのに(一部例外があります)、「予約してあるから大丈夫!」などと勝手に法律を変えようとしている人などがいて、長い列がますます長くなってうんざり。

 今回利用したのは阪九フェリー<ニューながと>。新門司=泉大津の254浬(458km)を12時間30分で航海。
 総トン数14988トン、主機関は16200馬力ディーゼル2基、旅客921名、乗用車110台とトラック180台を搭載して22.9ノットで航行可能。瀬戸内海航路では最大クラスの船です。
 建造は1991年でかなり古くなってきていますが、我が国のフェリーの場合、バブル&不況の関係で古い船ほど旅客設備は豪華で充実している傾向があり、<ニューながと>も新造の<フェリーせっつ>より豪華といわれています。

 乗船口で乗船券をもぎってもらい、エントランスで部屋の鍵を受け取り部屋へ・・なんと、今回は「特別室(ロイヤルルーム)」。以前に<すいせん>のスイートに乗船したことがあり、料金や船のグレードでいえば<すいせん>の方が上なんですが、<すいせん>のスイートは4室あったのに対し、この<ニューながと>の特別室は1室のみ、何だか有り難味があります(笑)

 特別室なんていうとブルジョワの極みのようですが、特等運賃+貸切料金+特別室使用料で39300円、これを早期割引(一週間以上前に料金を支払うと2割引)で7860円安くなり、旅行会社に支払った手数料250円を加えて31690円。
 大阪−小倉だと新幹線の指定席で1万4千円、B寝台や飛行機、新幹線のグリーン車で約2万円、A寝台利用で2万5千円ぐらいですから、決して安くはありませんが、部屋の広さを考えると無茶苦茶に高いという訳でもないんですよね。それに3万円は貸切の場合の料金で2人で旅行するなら1人あたり2万円弱、この部屋のトイレぐらいの広さのB寝台ソロとほぼ同じ料金になってお得感さえあります。

 部屋ですが・・・リビングと寝室が別室になっているのですが、それぞれが特等船室分の広さがあるんですから言う事なし。二等だったら定員は20人以上になるんじゃないですかね・・
 リビングはソファーセットと冷蔵庫など、寝室はシングルベッド2個と洗面台付きの鏡台、イスとテーブルがあり、どちらの部屋にも大型のTVが装備されています。
 ソファーセットは5−6人ぐらいは余裕で座れる立派なもの。ところで、他の乗客、特に下等級の乗客を室内に入れるのは不正の元なので重大なルール違反ですが、このソファーセットって何の為にあるんでしょうかね?
 ベッドは普通のシングル、布団は毛布ではなくてちゃんとした布団でした。
 しかし、この部屋で一番凄い装備は「プライベートデッキ」。そんなに広くはありませんが、フェリーで専用デッキがあるってだけでも大した物です。夜行フェリーなのであんまり使う機会はないと思いますが、イスとテーブルもあるので、比較的早く出発する第1便なら暮れる瀬戸内を背景に夕食、遅く到着する第2便なら朝の瀬戸内を背景に朝食ってのも優雅だと思います。(今回は冬なので流石に表でご飯を食べる気はしませんでしたが・・)
 バス・トイレはちょっと大きめのユニットって感じ。広いとまでは言いませんが必要充分です。

 ただ、やっぱり古くなりつつある船だけに一部装備が古くなっていたり汚れていたりする部分はありました。一番の減点はトイレの水洗ボタンの具合が悪く、ボタンを押すと水が染み出てきて手が濡れた事でしょうか。



エントランス  
エントランス
一等・特等指定サロン  
一等・特等指定サロン。二等・一等指定サロンも似たようなもの。
プロムナードデッキ  
船尾プロムナードデッキ。
独自アイテム  
ティーパック「船茶」。こんなものまで社名入りの独自アイテム
明石海峡大橋の夜明け  
明石海峡大橋の夜明け。

 さて、荷物を部屋に置いたら船内探検。BF〜2Fまでが車両甲板。BFの一部はエンジンルームやスラスタールーム、2Fの一部はドライバーズ甲板で寝台形式のドライバーズルームやサロン、浴室などがありますが、まあ、徒歩利用の一般乗客な私には関係の無い区画です。

◆3F(Bデッキ)
 ここから一般旅客区画。上下船口があり、入るとすぐにエントランス。ピカピカ光るゴージャスな作りになっています。大抵のフェリーのエントランスは必要以上にピカピカしていると思うのですが、何か決まりでもあるんでしょうかね(笑)

 ここには案内所(ホテルでいうフロント)とオープンラウンジがあり、オープンラウンジにはTVが置いてあります。周囲には売店、公衆電話、コインロッカー、自動販売機など。売店は日用品、お土産、おつまみ類など。箸袋から歯ブラシまで自社マーク入りで固めてあるのにオリジナルグッズは無いんですかね?
 自動販売機の価格はジュース130円とまあ良心的。カップヌードルの自動販売機もあります。

 エントランスの前方は二等区画。一般的なカーペットの「和室」、船室はそこそこ小さい区画に区切られていました。船内図には「ビジネスルーム」という表示がありましたが、言って見ると看板は出ておらず閉鎖されていました。臨時2等でしょうか?

 後方はゲームセンター、麻雀ルーム、宴会場(実質は臨時2等の大部屋と思われます)。ゲームセンターは24時間営業で品揃えはビデオゲームは大型筐体のレースゲーム(OverRev)、脱衣麻雀5台(うち1台は「スーパーリアル麻雀PV」)、「パズルボブル」「ぷよぷよ」「テトリス」「上海」「1941」「ダダンダーン」。約1個えらく濃ゆいのが混ざっているような気がしますが、その他は一般向けの淡白なチョイスです。その他はクレーンゲームとパチンコ、スロットの類。そういえば、こんなフェリーのゲームセンターってゲームの選定やメンテ、入替、景品の補給とかってどうやってるんでしょうかね?

 さらに、その後ろが展望レストラン&グリル。カフェテリア形式のレストランで結構営業時間が長い目です。
 夕食は早い時間に駅弁を食べていたので軽く・・と思ったのですが結局フルセット。ご飯、味噌汁、クリームコロッケ、明太子半分で800円強。味も値段もまあまあ、フェリースタンダートといった所。
 朝食はバターロールに卵を挟んだものが2個、ベーコンエッグ、コーヒー、杏仁豆腐で1000円オーバーでした。ちょっと高いような気もします。
 ところで、このレストラン、値段や味以前にエンジンの真上にあるので震動が物凄く、皿やコップが振るえているのが判ります。まあ、ここに船室を置くと当たった人は災難ですから公室を置くのは妥当なのかも知れませんが、せめて、この上にある風呂と入替える事はできんかったのでしょうか。


◆4F(Aデッキ)
 前部が一等洋室。シングルベッドの2〜3人部屋と2段ベッド方式の6人部屋。TVと洗面台付き、バス・トイレ無し。寝具は毛布です。
 2人部屋は他の船ならフォワードサロンがあるような最前方のいい位置にありますが、夜行便の為、朝まではカーテンを開けるのは厳禁です。
 またこの区画には一等浴室がありますが狭いので素直に後部の展望浴室を使うが吉のような気もします。まあ、盆や正月など混雑している時にはいいかも知れませんが、そう言う時は一等も混雑するので、無理して船で入浴せず、陸で銭湯を探した方がいいような気もします。ちなみに門司側では門司港の和布利や下関の長府、泉大津側では岸和田や堺の浜寺などに日帰り入浴できる温泉もあります。

 中央部は一等・二等指定サロン。まあ、ソファーセットとTVがあるだけですが・・
 後方は二等指定。普通の二等和室で区画指定のある二等指定Bとカプセルベッド形式の二等指定A(シングルスペシャル)があります。二等指定Aは施錠できるロッカーも付いていてお得そうな気がします。

 その後ろが展望浴室。浴槽は大浴槽と泡風呂。洗い場はそこそこありますが、1000名クラスの大型船にしては少々貧弱なような気もします。風呂場の前にジュースやアイスクリームの自動販売機があります。

◆5F(NBデッキ)
 最前部はブリッジ&乗組員区画。当然立ち入りは禁止。その後ろが特等区画。特別室も分類上は特等扱いです。
 特等は和室と洋室があり、洋室がシングルベッド、和室が畳でいずれも2人部屋、TVと冷蔵庫を装備。バス・トイレ付きで寝具は布団です。

 中央部が特等・一等指定サロン。いわゆる上等級サロンですが、一等・二等指定サロンに比べて特に何かある訳では無いように思えます。強いて言うなら、このフロアの乗客は部屋でも充分休めるのでサロンに出てくる必要があんまりないので空いているという事ぐらいでしょうか。

 後部は一等和室。和室といっても畳ではなくカーペット敷きで二等船室を3〜4人で専用すると考えた近いのかも知れません。TVと洗面台は付いています。寝具はマットと毛布です。寝るだけなら二等指定Aの方がよさそうですが、こっちは個室。家族連れやグループ旅行なんかに良さそうな気がします。

 さらに後ろは外に出られるようになっており、かなり大きなスペースがプロムナードデッキと称してイスとテーブルが置いてありました。


 一通り回って再び船室へ。

 その後、ご飯を食べたり、風呂入ったりなにやらしているといい時間になってきたので就寝・・・・震動やディーゼルの騒音は少ないのだけど、なにやら高音が・・・こりゃ、家具か何かが共振しているようで・・低音は平気ですが高音は流石に耳障りなので部屋中を捜索。結局、エアコンケースのフタだったようで閉めなおしたら音はやみました。

 で翌日。早起きしてソファに座って瀬戸内が明けるのを楽しみます。うーむ、やっぱりこの部屋は夏に乗るべきだわ・・・折角のプライベートデッキが勿体無い。時間的にも冬だと淡路島しか見えないしね・・・・
 そうこうしている間に夜明け。丁度、明石海峡大橋のあたりで夜明けになります。登る朝日をバックにした明石海峡大橋はため息が出るくらい綺麗でした。

 明石大橋を過ぎると大阪湾。朝ご飯を食べにいったり、出発の準備をしたりしている間に泉大津は目前。入港30分前にはクルーが鍵の回収にきて、いよいよ下船。

 しかし、上下船の時に時に思うのですが、なんで長い行列ができるのでしょう・・乗船の時は二等自由席の人は早く乗れるか遅いかは死活問題ですから並ぶのは当然ですが、上等級で行く人は乗船手続きの時に部屋は決まっているから急いで並ぶ必要は無く、逆に下船時は連絡バスなどの交通機関を使用する際は早くいかないと置いていかれる心配がありますが、同乗者(運転者は車両甲板に降りている筈なので)な人達は急ぐ必要は無いとおもうのですがね。
 私は連絡バス使用で、しかも泉大津FTはより不便な場所に移転しておりバスに乗れなかったら大変なので早いうちに並びましたが・・

 以降は連絡バスで南海泉大津、南海本線の急行で難波、地下鉄で自宅。無事に全旅程を完了しました。



 さて・・次の予定は・・・海軍とか船はお休みして、金沢まで鬼の四姉妹(特に3番目)と呉服屋の眼鏡っ娘を探しに行く方向で計画中(笑)