航海日誌


10月22日

 日記の事をコロっと忘れてた・・・とりあえず、最近みたビデオの感想など書いてみます。
 「シベリア超特急」。密室である長距離列車の中で殺人事件が起き、幾重にも張り巡らされたトリックを主人公が解決してゆくという定型モノですが、普通じゃないのは主人公が山下将軍って事。

 山下奉文・・陸士18期。「マレーの虎」「シンガポール開城談判(イエスかノーか)」のエピソードなど猛将として有名な人ですが、スイス・ドイツ・オーストリア駐留経験もある国際派で戦争拡大や日米開戦には反対の立場を取り中央と対立していました。
 北支那方面軍参謀長、第四師団長、遣欧州視察団長、関東防衛司令官など経て開戦時はマレー方面を担当する第二十五軍司令官(中将)。マレー作戦後は第一方面軍司令官として満州に転じるが戦局逼迫に伴い第十四方面軍司令官として再び一線に戻り比島戦の指揮を取る。戦後、マニラで法務死。最終階級・陸軍大将。

 予備知識ナシで見たのですが、なんかとてつもなくチープだし、特殊効果が自己主張して素人くさいし、山下将軍は映画評論家の水野晴朗だし、日本語には中学生英語みたいな英語字幕が付いているし、なんか変だなぁ・・と思ってたのですが、後で調べると、水野晴朗が一人五役で作った作品で、言われて見れば、その道に詳しいけど実際の経験の無い人間が作った感じのよくでた、同人テイストな作品です(笑)

 内容については・・この作品は「(製作者の意図していない部分で)笑える映画」「駄目映画」などとして有名だそうですが、なるほど、その通りです。
 ストーリーとか撮影技術以前に1つ・・作中やパッケージでは「山下大将」といってますし、襟の階級章も星3つですが、山下将軍の大将進級は昭和18年なので、独ソ開戦直前という設定のこの物語の時点では中将(星2つ)が正解。ギャグ系の娯楽作品ならともかく、戦争による悲劇をモチーフにして、山下将軍の「戦争はいかん」みたいな独白で締めたり、学徒動員や特攻隊の実写映像を入れるなど、メッセージっぽい事をするなら、主人公の設定ぐらい、ちゃんと気をつけて欲しいもんです・・


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